アニマ・テラ

その後数秒の沈黙が続く……
「へっ?」
もう一度声を上げたのはヴァンクール。

それによって全員の止まっていた時間がもう一度動き出した。
「どういうことだよ。
そのもう一つの世界からあんたは来たってことか?」
ヴァンクールは眉間にしわよせて手を顎にそえる。

「わたしはほら、このアスメルの反対側からきたんだよ。」
ミンティアは窓の方へ駆け出す。
するとそれに続いてシエル、ヒロ、ヴァンクールが窓際へ続いた。

「あのカストレのもっと高いところにあるの。」
ミンティアは目をくりくりさせて真黒なカストレの高いところを指さす。
カストレはどれだけ高いのか正直わからない。
途中から雲で隠れてしまっているからだ。
しかしあれより高いとなると、相当ここからは遠いのだろう。

「光の大地。アニマ・テラ。
私たちの世界はそう呼ばれてる。
アニマ・テラには人はいない。
私の力はアニマ・テラにいる友達をこちらに呼び寄せる力なの。」
ミンティアはアシェルに向かって小さく微笑んだ。

(アニマ・テラ……。)
「ブレイブブルーはどうやって突破してきたんだ?」
アシェルはふと頭に浮かんだ疑問をそのままミンティアにぶつけた。
ミンティアは猫みたいな目をくりくりさせて
「わからない。」
とひとこと小さくつぶやいた。
「気が付いたらカストレにいたから。」

その一言とミンティアの暗い表情にあたりが少し静まってしまう。
「わ!ごめん。カストレからこの島までは私の力でひとっとびだから、大丈夫だよ!」
周りに気を使ったようにミンティアはにっこり笑った。

パンッ
ガタンッ
突然大きな音が小屋内に響いた。
一つ目はランスが手をたたいた音、もう一つはヴァンクールが壁に張り付いた音だ。
『またヴァンは考え事していたのかな。』
アシェルはフレイルの言葉でヴァンクールに目をやると
またいつもの怖い顔だ。
(ミンティアを警戒してるのかもな。)
多分そうに違いない。
ヴァンクールは人をまず疑う。
「大丈夫か?」
アシェルが小声でヴァンクールに尋ねると
「あっ、ああ。ごめん。」
ヴァンクールは照れた様に笑った。

「うん。じゃあみんな。そろそろ行こうか。」
ランスが小屋の入り口に移動していた。
「そうですね。」
キセキがうなづくとランスは扉を開く。
外はとても明るかった。




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