あるべき未来を
キセキはミンティアにアシェルたちがセイカがなにをしたいのか知るためにカストレに行きたいこと、カストレならセイカがヴァンクールに手を出せないことなどを話した。
「そのためにはカストレの元につくことが先決だ。」と……
「それでみんなを私たちの地図作製に付き合わせるってこと?」
ミンティアは猫のような目をくりくりさせてキセキをみつめる。
「ああ。その通りだ。」
ミンティアはカウボーイハットを深くかぶりなおすと、一度ランスを見た。
ランスはミンティアと目を合わすなり優しく微笑む。
「私はかまわないよ。」
ミンティアはゆっくり全員を見回しながらにっこり笑った。
「ありがと。」
その言葉にキセキは歯を見せて笑う。
「ランス王子もありがとうございます。」
ヴァンクールがランスに深く頭を下げた。
それを見たランスは苦しそうに眉間にしわを寄せると
「よしてくれ……。
君をこんな風に苦しめているのも、セイカと心刀制度を許している法と、それを作った王族なんだ。
謝らなければならないのは俺たちの方だ。」
下を向いた。
「ランス……、法なんてこれから君と騎士団でこれからかえればいい。」
ヒロがランスの肩をポンとたたく。
ランスがゆっくり無理に笑顔をつくりヒロの方を見上げてから、ヴァンクールをみる。
「ああ。
これからカストレに向かう。
俺は創るんだ。
カストレのあるべき姿を、
あるべき未来を。」
ランスの今まで見たことのない光のともった、強いまなざし。
アシェルはこの目何度か見たことがある。
そう信念を貫く誓いの目。
(あるべき未来……)
『能力、心刀があるから殺戮は生まれる。
僕たちがいるから、戦いは生まれる。
僕たちを造ることができるから、死の重みが変わったんだ。』
アシェルは驚いたようなかおでフレイルを見つめた。
(やっとわかった。)
あるべき未来……
それは人の生が平等の世界。
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