大樹
「見ろ!」
アシェルが窓の向こうの樹の一点を指刺した。
みんな見つめる。
「…バレンチアだ」
シエルは唖然としていた。
樹の葉っぱがたくさんの太い枝の間から銀色がみえている。
バレンチアが樹に引っ掛かっている状態。
「すみません。
もっと近づいてくれませんか?」
ヒロが大声で叫んだ。
船が近づいた。
「みんな。飛び移るぞ!」
ヴァンクールが叫んだ。
4人は船の外に出る。
この船の廊下は外に露出しているからそこから飛び込むつもりだ。
「もっともっと!」
ヒロがまた叫んだ。
本当にギリギリの所に来た時にアシェルが飛び込んだ。
ガサッ。
「大丈夫だ。足場はしっかりしてる。」
ヴァンクールもヒロもとびうつった。
シエルは恐る恐る下を見た。
「!!っ」
絶句。
雲と同じ位の高さだから、地表がよく見えない。
「シエル。下を見るな、」
ヴァンクールが微笑んだ。そして右手を枝に引っ掻けて、左手を差し出した。
シエルはおもいっきりとんだ。
ヴァンクールの大きな手がシエルの体を支えた。
無事に4人とも渡って、樹の奥に入り込んでいく。
「…見えてきた。」
アシェルが指刺した。
バレンチアはたくさんの苔や草に囲まれて、もうこうなってから何年も経ったみたいに、葉の隙間から太陽の光が差し込んで…静かな時が流れていた。
4人は前に来たときに入った、バレンチアの飛行場の前にちょうどいた。
「ここから入れるよ。」
暗闇に足を踏み入れた。
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