運命の日

「ピチチッ」
窓の向こうにはいつもと変わらない平和な町が広がっていた。
家の窓には小鳥がとまっている。
コツコツ
爪で窓を叩くと小鳥はこっちを見ただけだった。
「お前逃げないのか??」

ドンドンドンッ
勢いよく扉が叩かれる。
「ピチッ」
小鳥は行ってしまった。

アシェルは少し不安な気持ちになりつつ
「ちょっと待って」
玄関まで走り扉を開く
「カレンー…」

「とフレイル??」
アシェルはビクッとした。
そこにはワンピースのカレンと後ろにはタンクトップのフレイルがいた。
「うわ!来ないでっていったじゃないの」
カレンはアシェルがフレイルに会いたくないと思っているみたいで、

「私、アシェルに会いに行くなっていったのよ」
一応、アシェルの家に来させない努力をしたという旨を伝えた。
フレイルはさすがに気分を害したようで
「僕はアシェルに大事な用があるんだ。君が帰るべきだよ」

うん、とうなずいて
アシェルに合図した。
きっと、本当に大事な用が会ってきたのだろう。

「ああ。カレンごめん。
今日はフレイルの話を聞くよ。」
アシェルが全部言い終わる前にカレンは顔を真っ赤にして
「今日で最後なんだよ…??私と会うの」

アシェルは昨日の言葉を思い出した。
カレンには悪いけど、
「カレンがこの国を変えてくれるならまた会えるよ。しかもそんなに長くはならないと思う。」
フレイルを見ると笑って頷いた。

カレンはうぅと嫌そうな顔をしてから頷いた。

「わかってる。大事な話なんでしょ。また後で。」
カレンは帰っていった。
バタンと扉が閉まった、
瞬間フレイルは話し出した。

「まず、これを君に渡すよ。」
小さな紙袋から一枚の紙を出した。
(地図?)

「これは…??」
「カストレ城の地図だよ。今から外界の扉の位置を教える。」
フレイルは地図の右下を指差した
「実はカストレ城は20階なんだ。」
指の先はF20。
「はあ!?3階だろ!?」
アシェルは驚きを隠せない。
「だってあと17階は何があるんだよ。」

フレイルは頭をふった。
「僕にもわからない。
まあ聞いてよ。
カストレ城の5階は牢屋がたくさんある。1階から続いてる一番大きな階段から上がって、その階段から一番遠い牢屋の中にエレベーターがある。
それに乗れたら、
君の勝ちだ。」
地図を指差す。
確かに階段から一番遠い。「エレベーターつぶれないのかよ…」
アシェルは半信半疑できいた。
「大丈夫だよ。」
そしてフレイルは真剣になった。
「あとお願いがある。」
フレイルは続けた。
「この前のスラムの少年の話を知ってる??」
アシェルはうなずく。
「彼を逃がしてあげて、国の外に。」
アシェルはまさにはあ??という顔をした。
「彼はバレンチア人だ。
今までの戦争でいつも戦争が起こるより少し前に
バレンチア人が牢屋につかまっているんだ。
僕は関係があると思う。
今回も5年前みたいにバレンチア人に戦争を仕掛けられる前に返してあげれば…と思ってね。」

うん??とアシェルは少し考えた。
「俺完全なる犯罪者じゃねーか!」
フレイルは笑った。
「もう戻れないんだから。
他の国までわざわざおってこないさ。」
そのまま続けた。
「本当にごめんなさい。」フレイルが2度目、頭を下げた。
「もういいよ。
この国から出られるから。
こんな国から…」


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