脅迫

アシェルはフレイルの心刀になった。

※アシェル目線
12時
「もうこんな時間か…」
今日は墓参りに行く予定だった。
父と事故で死んだ母にこの事を報告しないと…。

セミの声がする。
この国ではこの声が本物なのかもわからない。あの空のように作り物かもしれない。
外にでて本物の空をみたい。もしかしてどの世界もこんなのかもしれない。
本当は空なんかないのかもしれない…。

「父さん、母さん」
俺は墓にわらいかけた。
「俺は心刀になったよ。それは2人にとっては誇り高くて素晴らしいものかもしれないけど、やっぱり俺は嫌だ。肉体がなくなるだけなんて、きっと死ぬんだろ。心だって消滅するんだろ。」
悔しい…
逃げたい…
「俺は生きたい…」

「なら逃げればいい。」
!!
俺はとても驚いた。
はっと後ろを振り返るとフレイルがいた。
「ふざけるな!逃げれないから心刀になったんだろ!」
もうここまでくると、どうでもよくなった。
「すみませんでした。」
フレイルが頭を下げたのだ。これには目を疑った、そして頭を下げたまましゃべる。
「8月4日の城に来るときこの町からでられる扉を開きます。隙をついてにげだしてください。」
全く意味がわからない。
…カストレから出られる?
しかし、口から出たのは
「なんで、俺がおまえの心刀になったんだ?」
今はどうでもいい話。
「あなたが能力者だから、」
…はぁ?
「俺は自分に能力があるなんて知らないぞ」
「いずれわかります。
心刀の契約をしてから、実は完全に僕が使い手と決まってないんです。」

俺は首をかしげた。
「実は1週間以降に先に死んだ方が心刀になるんです。」
「じゃあ今俺がお前を殺したら、俺は死なないんだな!」
俺は混乱しながら突然叫んだ。
すると、フレイルは意外な反応をかえす。
「できるもんならやればいい。君はまだ僕には勝てない、心配しなくても僕はきっとカストレ人に殺される。"非国民"として」

この時まだ奴が何を言ってるのかわからなかった。
でも、俺が奴を殺せなかったのは一瞬見せた暗い瞳に恐ろしさを感じたから。


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あきゅろす。
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