ミンティア

「おーい!」
キセキとランス以外が呆然と立ち尽くす中、前方からとても小さな声だが女性の声が聞こえた。

「猫娘のこえだな。」
キセキがバルムンクから体を乗り出して下を見る。
クレール島の小さな家の前に小さな少女がたっていた。

「おい。俺だ。」
「まーた、キセキかあ。」
少女は少し残念そうにうつむいた。

大声を出しているキセキにシエルは気になったのか、トコトコとキセキに駆け寄る。

「あれ?かわいい子連れてるじゃないの。」
少女がビックリしたようにキセキとシエルをみあげた。
「可愛いなんて大袈裟ね!」
普通にシエルは照れている。

「ごめんね、ミンティア。
きょうはたくさん人が来てるんだ。」
すきとおったよくとおる声でランスがキセキの後ろから叫んだ。

「王子ーーー!」
ミンティアが嬉しそうに飛び上がった。
「いまからそっちに降りるからね。」
優しい声色でランスが微笑むと

「みんな、飛びおりるよ。」
とバルムンクの上にいる全員にわらいかけた。

ーーーーーー
「あ、シエル大丈夫か?」
なかなか降りてこないシエルを心配して、ヴァンクールが下で手を広げた。

「俺が迎えにいくよ。」
ヒロがふわりとバルムンクの上に乗るとシエルに手を差し出す。
さすがにもう何をするかはわかる。
「ごめんヒロ〜。あたし高いところ苦手で。」
「気にしないで。」
ヒロが微笑んだ瞬間、パッと二人が消えた。

「これでみんな降りたよな。」
キセキがキョロキョロとまわりを見回して八人いるか確認する。
「オーケー。ミンティア頼む。」

「はーいはい!」
ミンティアはビシッと敬礼すると、くるりと回ってバルムンクをゆびさした。
「バルムンク!あーりがとー!」

その瞬間、金の鯨が急に光だす。
もともとの金を大きく上回るほどに。
すると、パンッと粒子になって消えてしまった。

「あれは?」
ランナがキセキに話しかけると、
「んー。まああれがこいつの力だよ。」
と真顔でかえす。

ミンティアはこちらをふりかえると
「じゃあ話は中で聞こうかにゃー。」
八重歯をちらりとみせて笑った。


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あきゅろす。
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