この世界。アスメル

「おい。アシェル起きろ。」
よくとおる声にアシェルは目を開いた。
「ヴァンクール…。」
目の前には、びっくりするぐらい端正な顔立ちのヴァンクールが座っている。

辺りは真っ暗だ。あれから何時間寝ていたのだろうか。
「どうした?」
アシェルは何事かと思い、バッと体を起こした。
すると、ヴァンクールは驚いたように身をひくと、

「違う違う。ほら、あれ見てみてくれ。」
ヴァンクールは進行方向から後方のずっと遠い遠い空を指差した。

「あれは。」
アシェルは目を丸くした。
そう。見慣れた巨大な塔。
かつて、アシェルの世界だった、…カストレ。
こんなところからも見えるなんて。
下から大量の光を浴びているのだろうか、こんな真夜中でも、不気味に輝いて存在感を示している。

(この世界はどれだけ広いんだ。)

「ねえ。アシェルとヴァンはこの星はどうなってるとおもってる?」
突然背後から、低い声が尋ねる。
「キセキ…。
うん、太陽と月同様に丸いとか…?」
ヴァンクールが小首をかしげてキセキをみた。

「かつてそうだったみたいだ。」
キセキが呟いた。
「かつて?いまは違うのか…?」
アシェルが眉間にシワを寄せて尋ねる。
『アシェル、いままで行ってきたところでカストレが見えなかったところはないよ。』
フレイルがうーん。と考えながら呟いた。

「色々、調べてたんだが、この世界、アスメルが丸いってことはないんだ。
クレール島についたらわかるよ。」

「丸くない!
だから、カストレがどこからでも見えるのか。じゃあかつてはもっと大きな星だったってことか。」
ヴァンクールが静かに驚いた。

(なんだか、急に世界中を見てきてるから、こんがらがるよ。)
『そうだね。僕でも知らないことだからね。』

この世界。アスメル…、謎が多すぎる。


[*前へ][次へ#]

6/14ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!