ランナ

開けて勝手に中にはいる。「おーおー。勝手に入っていいのかよ。」
奥にはいくつかの薬だなと医療器具。
大きなソファーの上には緑の髪をした少年と、その脇に小さなねこ。

まずはねこが耳をぴくぴくさせながら起きた。
それをみたヴァンクールが
「ムーちゃん?」
その声と同時にねこはとことことヴァンクールに近づいて飛び付いた。
「ランナのやつホントにムーが好きだな。」
あいた左手で撫でながら笑った。
するとムーがいなくなって寝ながら手で空をかく。
ところがソファから落ちてしまった。

「いてて…」
頭をうったようだ。

「!ヴァン!無事だったのか。」
しかしこんなガキが医者とはな…

「このけがの治療をしてくれ。」
ヴァンクールが用件をいうと、すぐに
「こっちきて見せて。」
ヴァンクールはランナの方に歩いていった。
アシェルとシエルは入り口の椅子に腰かけた。

「うわぁ。目腫れてるなー。たまってるから、切って縫うわ。」
「えっ!」
アシェルは驚いてつい声をもらしてしまう。
今日何度目の驚きだろう。
「大丈夫だよ。すぐに終わる。」

そういってランナは素早く麻酔をさす。
即効性の麻酔。すぐにヴァンクールを眠気が襲う。

素早くメスで少しきり、中から慣れた手つきで血と膿をぬいて針を取り出した。
針の先端からゆっくりと指をこすりつけていく。
「なにしてんだ。」
シエルに問いかけると
「ランナは糸使いなんだよ。」
そのひとことでアシェルは納得した。

針全て流れるようにこすってからそのまま空中も同じようにこすりつける
…とそこから徐々に見えない細さの糸が生じていた。
ある程度の長さになって素早い動きで縫い合わせていく。
さすがは医者。という感じだ。

縫い終わってすかさずガーゼでとめて眼帯をかける。「終わったよー!」
ランナは少し汗をかきながら息をはいていった。

ヴァンクールはすやすやと眠っている。となりではムーが寝ている。どうやらムーはヴァンクールの愛猫のようだ。

「ヴァンが起きるまで結構かかるから。先にアシェルの部屋に案内するよ。」
シエルはアシェルの手をひいた。

「起きたら言っとくよ。」2人はランナに別れを告げて部屋をでた。




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あきゅろす。
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