クレール島へ
この瞬間、一度失ったカストレ国民という称号をもう一度手にする。

アシェルには迷いはなかったが、心境は複雑である。
(カストレの騎士だ。君が一番疑問を持っていた…。君はこの世界について核心に触れるだろう。
君が何をすべきなのか…。ちゃんとした目標が決まるね。)
フレイルはランス王子を見つめながら、目を細めて呟いた。
『フレイル…。』

「うーん。わかりましたー。
それじゃあみんなでクレール島に行くぜー。」
キセキがぐーっとのびをしながら笑う。

「クレール島、聞いたこともないね。」
ランナが目をほそめてキセキを見上げる。
キセキはニヤリとしながらちらりとランナを見つめて、ニコッと笑った。
「秘密機関だからなー。それだけは地図とかにも載せたらだめなんだ。」

その瞬間、
「俺も行きます。」
完全に予想外のところからの発言だ。
「ヒロ!ダメよ!そんなケガで…。」
シエルが心配そうに大声をだした。

「いや、大丈夫だ。クレール島、俺も行くから寛人も行くか…。カストレの痛み止とクスリ飲んどけば大丈夫だろ。」
ランス王子はニッコリとわらって、ヒロの肩をバンッとたたく。
「いってぇ!やめろよてめぇ!」

「ヒロ…。」
本当に心のそこから笑っているヒロだ。
いつもどこか控えめで自分を抑えているヒロが楽しそうに笑っている。
それを見て、シエルの口もとが緩んだ。

「じゃあ行くか〜。
世界一の地図職人に会いにいくぞ。」
ランス王子はすっくと立ち上がった。


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あきゅろす。
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