カストレ国民になる

「みんな…。」
ヴァンクールは窓際を見つめながら、静かに呟いた。

「あたしはヴァンが危険にさらされないなら…!」
シエルは身を乗り出すように、無理に微笑む。ランナはそれを見て頷いた。

「今はそれが一番安全なのか…?」
アシェルがランナにたずねる。ランナは目を閉じて首をかしげる。
「うん。誰も敵にまわさない賢いやり方だよ。でも、ランス王子怒られないの?」
ランスは足を組んで、顎に手を添えている。
「そうだな。もうヴァンクールが死なれると困る状況なんだ。俺が騎士に命じなくても仕方なく騎士はヴァンクールを守ると思う。
それには近い方が有利なんだ。
セイカもさすがに騎士全員がいるところでヴァンクールを狙うことはしないだろう。
父上もそこまでばかではない。」
そして、ランスはすっと立ち上がった。
その場にいる6人を見回しながら、真剣な顔で指先を中央にいるアシェルにむける。

「これに同意するなら…いや、してもらうつもりだが、はれてお前たちもカストレ国民だ。」
そして少しだけ口を緩ませ
る、ランス王子の微笑み誰もがうなずいてしまいそうな、どここか魅力的で優しい笑み。
しかし、その口から出た言葉は表情とは裏腹に
「その代わりヴァンクール以外のお前たち…、俺とヴァンクールを死ぬ気で守れ。それが本当の使命だ。」
どこか挑戦的な笑みで低い声を出した。

(重い…。さすがランス王子だね。)
フレイルも懐かしさを感じているのか、優しい目で感心ありげに呟く。

「わかりました。」
アシェルはすぐにうなずいていた。
自然に言葉を発していた。


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あきゅろす。
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