世界地図

「なあ。」
ヴァンクールがふと声をあげた。
笑い声で少しうるさかった教室が一瞬で静まりかえった。
「どうした。」
ヴァンクールは完全にランス王子を見つめている。ランス王子も、椅子を回転させてヴァンクールのほうに体を向けた。

「どうやったら、カストレに入れるんだ?」
ヴァンクールが小さく呟くと、ランス王子は目を瞑ってフーッと息をはいてからヴァンクールをみる。
「やっぱりそれか。なにか、カストレについてわかったみたいだな。セイカを殺す気か?」
ヴァンクールはランスから目を反らした。
「セイカが何をしようとしているのか、わからないといけない。それにはカストレに入らないと。」

ランスは口もとを緩めると、
「ヒロからも言われているよ。俺の王位継承の時に来るといい。まあ、いつになるかはわからないが。」
ヴァンクールは目を丸くして顔をあげた。
「俺たちも入れるのか?さすがに騎士どもが反対するだろ。」

ランスはゆっくり立ち上がると、キセキの肩にポンッと手をおいた。
「キセキの配下になったらいい。」
キセキはやっぱりか、というようにニカッと笑った。

「俺の班にですか?いいっすね〜」
それを聞いてすかさずシエルが反論する。
「私たちに騎士の下につけって言うの?」
キセキはシエルの頭にポンッと手をおくと、
「カストレにはいかないよ。俺たちは地理班。この世界の機関なんだ。
お前ら世界地図ってみたことあるか?」

「いや。地域ごとのしかみたことないな。」
ランスが手に顎をのせて、考えるように呟いた。
「地理班。まさか。」
それを待ってましたと言わんばかりに、親指をたてると
「そ!俺たち地理班が世界地図を作ってるんだ。あと少しなんだぜ。」

「そうだ。それを手伝ってもらおうと思う。
そしたら、一応カストレの人間ってことになるし。なんせ騎士と接近できるだろ。セイカも手をだしにくいし、
俺もなるべくお前たちと争いたくないし、セイカのことをうまく対処したいからな。」
ランスは静かに椅子に腰かけた。

「どうだ?世界をまわらないか?」
キセキは勢いよくカーテンをひらく。
窓の外には静かでとても広いカサハラの町が広がっていた。

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