アルヴァの力

(アルヴァに力なしで戦うなんて出来ないな。)
ヒロは右手に刀を構えながらアルヴァから距離をとった。
腰からの出血が止まらない。
時間はかけられない。

「ラグナ。
お前がヴァンクールを捕らえると言うなら、助けてやってもいいが。」
アルヴァは静かにヒロを見て笑った。

ヒロをキッとアルヴァを睨み付けると、腰を降ろし後ろにある足に力をいれ踏み込んだ。
グラウンドの土が擦れて、ジャリッと音がなる。
ヒロは刀を自身の前に構え、アルヴァに向かって飛び出した。

「アルヴァァア!」

アルヴァはヒロを見ながら刀を構える。
(母さん。)

ヒロが刀を振った瞬間、アルヴァはそれ以上の速さと力で刀を横に振った。

ジャンプしてよけただけでは、きっともう一振りで斬られるだろう。
それに燃費が悪い瞬間移動を何度も使うのは良くない。

(今だ!)
ヒロは前に突っ込みながら刀をジャンプして避け、空いた左手をかざした。

アルヴァはそれを見て一瞬でもう一度刀を振るう。しかし、余裕でかわされてしまった。
(ん?刀が…)
アルヴァは何か嫌なものを感じ、大きくバックステップした。

「能力か?」
アルヴァは肩をポンポンと叩きながら、もう一度刀を構えた。
「お前の力は知っているぞ。母親を逃がしたのはお前だからな。」

ヒロはその言葉で眉間にシワを寄せるが、そのままアルヴァに突っ込んだ。
「さっさと片付けてやる!」
走りながら左手をぐんっとふりおろす。
するとガシャンッとアルヴァの腕から刀が落ちた。

「ふん。重力か」
アルヴァは刀をとろうとしないで、そのままヒロの方を見た。
(刀は出さないのか?)
アルヴァは向かってくるヒロの方をただ見ているだけで何も行動を起こす気配はない。

「はぁあ!」
ヒロが斬りかかる。
完全に首。急所を狙った。

キンッ

ヒロの刀が何かに弾かれた。
「っ!」
(これは剣?)
ヒロの刀を受け止めていたのは、青と緑の透明がかった剣だった。
2本の剣がクロスしてヒロの刀を軽く受け止めている。

するとアルヴァはニヤリと笑うと
「そうだ。首を狙うのは正解だ。しかしな、私の心刀に目がいくばかりに、背後ががら空きなんだが。」

「しまっ…!」
ヒロはハッとして振り向いた。

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