セイカとエージェント

「じゃあ。」
ヒロが恐る恐る尋ねると、

「そうだ。セイカが俺を殺せば、国王はセイカになる。
でも、そんなことがバレたら意味がないから、どれだけうまく俺を殺すかだろうな。」
ランスが遠くを眺めているような声色でポツリと呟いた。

「いや、待てよ!
国王になってセイカは何をするんだよ。」
ヒロはベッドに仰向けになりながら、くぐもった声を出す。

少し、沈黙が起こってから
「セイカが何のために強くなっていっているかは、きっと本人に直接聞かないとわからない。
でも、カストレの国王になれば。」
ランスは言葉を止めた。

「ランス?」
ヒロが起き上がって尋ねると、
「実は、カストレの資料館の鍵が受け継がれる。
国王のみが入れる神域なんだ。
過去になにかあったのか、そういうのはよくわかるようになっている。」
ランスが小さな声で周りに聞こえないように、呟く。

「セイカの秘密も?」
「ああ。
セイカには子供がいるのは知ってるか?」
ヒロは少し考えてから、ヴァンクールの精神のエヴァのことを思い出す。

「ああ。
若者だよな?
本人を見たことはないけど。」
すると、ランスは
「セイカってどう見ても20代か30代なんだ。
子供はだいぶ前に死んだようだし。」
「年をとっていない?」

ヒロは眉間にシワをよせて低く尋ねる。
「それはありえるよな。
ってかこんなにペラペラしゃべって。
まだ誰にも言わないでくれよ。」
ランスは携帯の向こうでクスクス笑った。

「ああ。
ただセイカが若作りなだけかもしれないしな。」
ヒロが笑うと
「そりゃいい!」
とランスも笑った。

「そうだ。
もし…もし、父さんが死んだら、また連絡する。
俺が国王になるときは、ちゃんと式典をするつもりだ。
ちゃんと、騎士全員も国民に紹介する。
ヒロも来てくれな。」
ヒロは嬉しいような、でも悲しいような不思議な感覚におそわれた。

「ランス。
本当に気をつけてくれよ。」
ヒロが心配そうにいうと、

「大丈夫。エージェントもア…、ウェルもみんなが守ってくれるから。
エージェントがセイカに一応言っておいたって。」

「エージェント…」
するとランスが

「セイカは、エージェントのことはかなり警戒しているよ。
彼は結構最近入って一度も能力を見せずにトントン拍子で上がっていったからね。」
(エージェントもやばいのか。)

「あっ!」
ランスが携帯のむこうで急に声を上げた。

「ごめん。ヒロ、誰か来た!
後でまた電話しようか?」
「いいよ。大丈夫。」
するとランスが、

「そうだ。エージェントは確実に年をとってないんだ…。」
と切り際に衝撃の発言をした。

「はっ?そんな…「ごめんな!」
ブツンッ

ヒロは急にきられたことに怒りつつ、衝撃の事実に戸惑いつつ、
(言うべきだろうか。)

仲間にこの事を告げるべきか迷った。


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あきゅろす。
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