浮かび上がる事実

電車はアシェルが昔乗ったことのある城下町の蒸気機関車とくらべものにならないくらい『機械チック』だった。
「すげぇなー!」
アシェルは電車のシートの座り心地を確かめながら言った。

「残念だけどもうすぐブリッジにつくよ。」
シエルが苦笑いしながら言った。
1人はしゃいでいるのが自分だけと気づいて、少し恥ずかしくなった。

相変わらずヴァンクールは目に氷をあてながらうとうとしている。
シエルがそれを見て
「本気で寝ないでよ!」
ヴァンクールはあいている左手を上げた。


〜2分後〜
「ブリッジです。」
アナウンスのかかった瞬間勢いよく扉が開く。
「おお!」
アシェルにとっていちいち感動だ。

3人は電車からおりると、女の人が立っていた。
「お帰りなさい。無事で何よりだわ」
女の人はふぅと息をはいた。
『彼女はフェアリーさん』フレイルが教えてくれた。(フェアリーさんってあの5年前の戦争の拉致被害者?)
アシェルすかさず問い返す。
『うん。でもまだ契約してから相手は死んでないんだ。』
心刀のしくみがわかってきているアシェルはその危険性がすぐに理解できた。
(この人は誰と?)
『現在4番だよ』

「中にはいってちょうだい。アルフが待ってます。」3人はフェアリーに続いて大きな扉の部屋に入った。

「!」
アシェルは驚きで声が出ない。
中はいつかの映画で見たような機械がずらりとならんだ操縦室だった。

アシェルが驚いている間にアルフが来た。
アルフは髭の生えた茶髪のダンディーなおじさんだった。

「ヴァン、何があった?」氷を持ったヴァンクールを見てアルフが聞いた。

ヴァンクールはすべてを話した。
ヴァンクールの話を聞いているとアシェルの知らなかった事実が浮上した。

ヴァンクールはアストラシアという国で騎士に出くわしたこと
顔の傷は騎士2人と戦った時にできたもの。

そして自分の心刀を解放しなかったら負けていたということ。
「シエル、ヴァンクールも心刀を持ってんの?」
シエルこそこそと尋ねると、
「うん。詳しいことはいえないから後で聞いてみたら?」
アシェルはうなずいた。
心刀について学ぶ機会だ。シエルはヴァンクールをみながら考えた
(…ランナのことは言うべきかな。)


ヴァンクールが報告し終わるとアルフレッドが
「今は傷を癒しなさい。
新しい情報が入り次第また呼ぶから。
その時はそのアシェル君も来てくれ。」
「俺ですか?」
アルフレッドはニコッと笑って
「君はヴァンクールとシエルの3人で仲間を増やす手伝いをして欲しい。」
アシェルははじめからそのつもりだったが、わからないことができた。
「わざわざヴァンクールを危険にさらさなくても。」
するとヴァンクールが
「ここにいたらバレンチアが危険だろ?」
そのとおりだ。
(ヴァンクールも国を守るのに必死だから…)
シエルは一人悲しくなった。


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