死者の宴

アシェルたち3人は急いで金属の扉を開こうとした瞬間だった。

「うがあぁああ!」


後ろの方で考えられない程の大きさ、声色の叫び声が響く。

そしてキセキが振り向いた時
「っ!」

キセキの目の前に何かの影がうつった。

何がなんだかわからない最中、
ガンッ
という金属の扉にぶつかる重たい音と、その一瞬あとにキセキを激痛が襲った。

「キセキ!」
キセキはフロアの壁に叩きつけられ、それを見てアシェルとヴァンクールも後ろを振り替える。

目の前には、大きな黒いマントを翻し、黒い粒子を纏って柵の上に立っている骸骨が3人を見下ろしていた。
表情がないはずの骸骨なのに、とても恐ろしい顔をしているような気がする。

(やばい。)
そして3人が同時に同じように思った。

そう思ったのとほとんど同じ時に、
「ヴァンクールしゃがめ!」
アシェルの声が暗闇に響く。

ヴァンクールはハッとして、アシェルの言葉にしたがって素早くしゃがんだ。

ゴッ!

何かがぶつかって弾けるような音がした。
ヴァンクール達の真上を、サラバの周りを囲んでいた黒い砂煙のようなものが通過したのだ。

それだけならまだよかったものの、その黒い粒子は頭上を越えた後、あの重たい金属の扉にぽっかりと大きな穴をあけ、そのまま廊下の先のエレベーターを破壊した。

「うそだろ!
おい、あの黒いのに当たれば死ぬぞ!」
アシェルが叫んだあと、

「先にサギリ姐さんを探したい!」
キセキが先ほど殴られた腹を押さえながら叫ぶ。
キセキの口からは僅かだが血が滲んでいた。


「サギリはきっと上だ。
このまま一方通行で壊れたエレベーターから下に降りるより階段を使った方がいい。
サギリをまず助けるぞ。」
ヴァンクールがそう言った直後、そのまま3人はエレベーターは破壊されて使い物にならないので、破壊されたエレベーターの中から35階に上がろうと廊下を走った。

このサラバの武器は周りを囲む黒い細かい粒子。
もう、心刀どうこうの域を越えている。
そう考えると
「能力かもな。」
アシェルがちらりとサラバを見ながら呟いた。

「真っ正面から受けようとするなよ。」
もし、能力ならばアシェルの月の力で消すことが出来る。

3人で一番素早いヴァンクールがアシェルへの忠告をしつつ、最速でぐちゃぐちゃのエレベーターの影に消えた。

アシェルが後ろをちらりと振り向くと、サラバはこちらを見ているが黒いガントレットを纏ったような両手は天を向いている。
(こっちは狙う気ないのか…?)
そう思ってエレベーターにたどり着いた瞬間。

カッ
と一瞬だけアシェルの目の前が光った。と思うと、今度は
ドカンッ
と何かが爆発するような音、そして崩れ落ちる音が耳に入った。
そして地面が激しく揺れた。

サラバのいる部屋に瓦礫が降り注いでいるのが見える。
何が起こったか理解するのは簡単だった。

サラバが何の目的で何階まで壊したのかはわからないが、フロアの天井を破壊した。


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あきゅろす。
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