どんどん上へ…

「それ持ってくぞ」
アシェルがキセキの持っている書類を指さした。

「あぁ。そうだな。」
キセキもそれにうなずいて、自分の帯にそれを差し込んだ。

キセキはそのまま続けて何かを探す。
(この人たちか。)
アシェルはもう人の姿をしていない者を見つめる。

たしかにこの人達を解き放つには…殺すという選択肢しかないようだ。


「そうだ…」
先ほどあるのに扉がなかった20〜34階に続く階段があるかもしれないのだ。

アシェルが部屋の中を一通り見てなかったから、仕掛けがないのか、あたりを触ってみる。

すると、入り口の近くにボタンがあった。
「おい。これ。」
アシェルがキセキの名を呼ぶと、他の場所を調べる手を止めてキセキが歩いてくる。

「danger!
なんだよ。おしたくなる。」
キセキは目を細めて指を近づける。

「ま、いんじゃね?」
正直、アシェルも気になるのだ。

「では…」
カチッ

キセキがボタンを押した瞬間、

…何も起こらない。

しかし
「おい。キセキ…」
アシェルが元人間の入ったカプセルを指さした。

カプセルの中には何か液体が入っているのだが、その液体がどんどんと減っている。

「出てくんじゃねぇか…?」
アシェルが心刀を構えながら呟いた。

しかし、液体がなくなっただけで何も起こらない。

キセキは警戒しながら一番近くのカプセルに近づいた。

「あっ…。」
「何かあったか?」
アシェルが尋ねると、
「多分死んでる。」

とかえってきた。
「なんか…
よどんでる。」
とカプセルに顔を少し近づけて呟いた。

アシェルはそのことを確認するために他のカプセルに近づく。

「ほんとだ。
水を吸収した管から、なんか毒でも流したのか…?
なんで一斉に殺すんだろう…」


「さあな…」
キセキが虚ろな表情でカプセルを見ながら言った。

「おい。もうこの階はいいだろ。」

アシェルの問いにキセキはうなずいた。


ーーーー

36階から46階までこのような作業が続いた。

部屋を一通り調べて、ボタンを押す。

最上階まであと少しだ。


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あきゅろす。
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