兵器工場

「いてて…」
ここは…

(どうみても牢屋だな。)
このビルの中にこんなスペースがあるのか…と内心驚きながら、サギリはゆっくりと体を起こした。

(ヴァンは…?みんなは…)
辺りを見回すと、どうも誰もいないようだ。

立ち上がって出ようとするが、まぁ牢屋だから出れるわけもなく、武器もない。おまけに能力も変な腕輪によって使えなくなっていた。

「ふう…」
サギリがゆっくりと腰をおろした時だった。

ガチャンッ
扉の音が奥から聞こえ、
カツカツ
とヒールの音がこちらへと近づいてくる。

「さぁーぎりん!」
ヒョコッと顔を出したのは、髪を下の方で2つに結んでいる女性…

「ティアラ…」
この女もファルクスカンパニーの人間だ。

「なんで私を閉じ込めるんだ。」
サギリはため息をついて、壁にもたれかけると。

「サギリンには死んでほしくないからねー」
とティアラは笑う。

サギリは笑っているティアラを見て顔をしかめた。
「おかしいじゃないか。
だったらこの牢屋から出してくれないか?」

ティアラは笑うのを止めてサギリを見つめた。
「たしか…ゴーストを動かすの。」
「ゴースト?」
急に真面目になったティアラを見て嫌な予感がした。
「そっか知らないのね。S班は…
私はM班でしょ。
私たちは開発チーム。」
サギリはそれにうなずいた。
「それも兵器開発。」
「はっ!?」
「立ち入り禁止区域が開発室よ。
そこでゴーストの研究をしてるんだ。」
サギリはそんなにペラペラしゃべっていいのか、と思いながら
「ゴースト…?」
と首をかしげた。

「まぁいいよ。
すぐにわかるわかる!
ここにいれば安心だから。
今回はこのファルクスカンパニー内の私とサギリンとヴァンクール以外の能力者を殺すっていう任務内容よ。
うまくいけば…だけど。」
ティアラの顔が変わった気がした。
いつもの柔らかい笑みを浮かべている人間とは思えないほど暗い顔をしている。
「ゴ、ゴーストがやるのかそれを…
待て。
この中には…」
サギリが焦りながらティアラの方へ近づくと、

「アシェルとキセキを殺すための作戦なんだから。」
とティアラが笑った。

「ふざけるな!
なんだよゴーストって!」
サギリが激昂するなりティアラは笑った。

「今にわかるよ。
後でまた来るから。」
ティアラは立ち上がるとここからは見えない出入口へと歩いていく。

「待て!」

「サギリンが悪いんだよ。
こんな会社に入ったサギリンが。」

そう言い残して、

ガチャン

扉は閉じた。


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