ファルクスカンパニー

サギリはゆっくりとファルクスカンパニーのガラスの扉に手を添えた。
しかし、サギリは開こうとしない。
ー緊張しているのか…。

「固くならなくていいよ。」
ヴァンクールがサギリの手に自分の手をのせて、そのまま力をいれた。
すると自然と扉が開いていく。

「…ありがとう。」
そしてサギリは扉に自ら力をいれた。

ーーーー

ファルクスカンパニーの内部は明るくて、白を主とした広いエントランスだった。
遠くに受付らしきものが見えるが…、

コツコツ。
やたらはやいヴァンクールの足取りにサギリが小走りでついてくる、そんな様子だ。

「すいません。」
ヴァンクールが受付の美しい女性に、歩きながら低い声で話しかけた。

「いらっしゃいませ。」
女性は一度立ち上がって、丁寧に礼をする。

「今日はどのようなご用件でしょうか?」
受付嬢がヴァンクールとサギリが受付にたどり着いた瞬間にたずねると、

「ここのサラバという人物にあわせてほしいのだが。」
サギリが低くたずねる。

すると受付嬢が驚いたような顔をして、
「社長…ですか?」
と目を丸くした。

「ヴァンクールだ。この名前を言ってくれ。」
ヴァンクールが受付嬢に真顔で言う。

「少々お待ちくださいませ。」
受付嬢は少し慌てたようにカウンターの電話を持って、奥の部屋へと移動した。

ーーーー

「サラバが簡単に解雇してくれたらいいけどな。」
ヴァンクールが長い睫毛を伏せて呟いた。

「無理なのか?」
サギリがヴァンクールに尋ねると、
「無駄に性格だけは悪いからな。
なにか企んでるかもしれないし。」
ヴァンクールが呆れたようにため息を吐いた瞬間。

「お待たせいたしました。
了解がとれましたので、社長のもとへ案内いたします。」

受付嬢とは別の美しい女性が現れた。

「それでは、ついてきてください。」
ヴァンクールとサギリは言われるままに、女性の後を追った。

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あきゅろす。
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