鷺と手裏剣

コンコンッ
「どうぞー」
シエルのいつもの明るい声がしてヴァンクールはほっとした。

今は試合後の休憩。
ヴァンクールはすぐに病室のシエルを訪ねたのであった。

「おめでとう!」
シエルが本当に嬉しそうにニコニコしながら手を叩く。
ヴァンクールも片手を頭に添えて照れていた。
「でも!」
急にシエルが指を眼前につきだす。
「グレネードはやりすぎ!
それだったら、手榴弾とかにすれば?」
「たしかに、あれはでかいし対大勢用だしな。」
指を顎に当てながら「うーん」と考える。

「それか、やっぱりヴァンはナイフと短刀と銃とマリでいいんじゃない?」
シエルはにっこりヴァンクールに微笑んだ。
「無理して増やさなくても、もっと工夫したらいいんじゃない?」

「4回戦熱き準々決勝をはじめます。選手は集まってください。」
召集のアナウンスが病室に響き渡り、ヴァンクールは入り口へと向かう。
「じゃあ、いつもどおりやるよ。」
出際にシエルを振り替えって優雅に出ていった。

ーーーー

「アシェル!
あの人だ!」
ランナがリングを指さす。
「ほんとだ。」
先ほどはちゃんと戦いっぷりを見ることができなかったために目線を話すことは出来ない。

「一試合目。鷺対ターナ、はじめ!」
その瞬間、コロシアムが熱狂に包まれた。

鷺はいきなり大きな十文字手裏剣を出して、思い切りターナに向かって投げる。
「なんだあれ?」
まわりの人々があの見たことない異国のものに、目を丸くした。

ターナは落ち着いて手裏剣をかわす。
そのあとすぐにターナが鷺に向かって走り出す。

鷺は落ち着き払って立っているだけだ。

それをみてアシェルはため息をついた。
(初めて見た人がわかるわけないよな。)

ドスッ

背中に十文字手裏剣をさして、ターナは倒れた。
ターナは死んではいないために鷺は失格にならない。

「鷺選手。準決勝進出!」
これがこの大会の本来の姿。と隣でおばさんが笑っていた。


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あきゅろす。
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