トーナメント1試合目(ヴァン)

「ワー!」

ヴァンクールとヴァンクールの入ってきたところの反対側の入り口から対戦相手が登場した瞬間、誰もが耳を塞ぐような歓声がコロシアムに響いた。

ヴァンクールはどこかわくわくしながら、観覧席を見回す。
観覧席はこちらからでもほとんど満席に近い状態なのがわかった。
(この中にみんないるのか?)

ぱっと視線を相手に向けると、もうリングの上に立ってじっとこちらをにらんでいた。

「すいませんっ」
ヴァンクールは小走りでリングへと足を進める。

目の前に立っている巨大な男「カブラ」は待ってましたと言わんばかりに掌をボキボキならして見せた。

それを見て安心してヴァンクールは(勝てる!)と自覚したようで、そのまま拳を構えた。

すると
『あれ?武器いらないの?』
マリが驚いた声をだす。
(心刀使わなくても勝てるよ。心刀使うと癖で急所しか狙わなくなるから失格になるだろ?)
『確かに。』


カブラは目を細くして拳を構えた。
それをみた審判がもう一度2人を見てから
「第12試合目…はじめ!」

その合図と同時にヴァンクールが消えた。
カブラはそれを目で追えるわけもなく、思い切りリングを殴る。

するとリングがカブラの殴った部分からすごい勢いで砕けていった。
「ワー!!」
そのすごい怪力に客席が歓声をあげた瞬間、

ヴァンクールが現れて
ドサッ。
カブラが倒れた。

観客はカブラが優勢だと思っていたのでなにが起こったのか理解できず、ただリングの上で倒れているカブラを目を見開いて凝視するだけだった。

ヴァンクールはリングの端の方で自分の足を見つめていた。

『ヴァン、その技は?』
マリも何をしたのかよくわかってない様子
(この前、セイカと戦った時にセイカが床板を投げただろ?あんな風に遠距離攻撃を工夫してみたくって、砕けたリングの出来るだけ広範囲の欠片を思い切りぶつけていったんだ。
頭にあたると力のない俺でも、相手を気絶させるくらいはできるみたいだ。)

マリに説明し終わった瞬間、
「ヴァンクールの勝利です!」
「ワー!」

結果と歓声を聞いてヴァンクールは嬉しそうにガッツポーズして控え室へと戻っていった。


それを見て、ヒロとランナもそっと胸を撫で下ろした。

ーーーー
「続いては第28試合目です!」
やっとシエルのようだ。



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