予選

司会の女の人が色々話終えたあと、また別の男性が入ってきて
「それではまず予選を始めたいと思います。」

「ワーー!」
いちいち話すごとにとてつもない熱狂と歓声。

「エントリー数が500人弱なので、予選では8人一組となって残ったものが一回戦進出です。
ルールは簡単。場外にすればよし!戦闘不能にすればよし!それでは一組目!」
「ワー!」
審判の男性が手を上げると小さな出入り口からぞろぞろと8人の男女が出てきた。

アシェルはポカンとしてその様子を眺めている。
(…あれ?)
『どうした…、あぁっ!』

「あっ!あいつ!」
いきなりアシェルが大声をあげたので周りの人はアシェルたちを迷惑そうに睨み付ける。

「どうしたの?」
「あの後ろから2番の女。ミカミの鷺(サギリ)だよ!」
アシェルが必死に指をさす。

ヒロが目を細めて
「あんな美人は知らないなー」

「俺しか会ってないからな。」
アシェルは苦笑いで呟いた。


今見るともう石のリングの上に8人が円を描くようにお互い睨みあっている。

「スタート!」

審判の合図と同時に8人は一斉に動き出した。
8人とも真ん中に走っていく、そして

「っ!」


一瞬のことだった。
鷺はいち早く中央を陣取って逆立ちをしたあと、腕を軸にして回し蹴りをした。
すると他の7人に見事にあたり鷺以外場外に吹っ飛ばされてしまった。


「おぉー!」
歓声とともに拍手までおこっている。
鷺はすっと立ち上がって髪をかきあげてから何事もなかったように出入り口から去っていった。

それを見ながらボーッとしていた審判はハッとして
「…あっ!見事No.152鷺さん本戦進出!!」


「ワーー!」


「すごいな…」
ヒロは苦笑いで吹き飛ばされ、せっせと片付けられている人たちを見ていた。



ーーーー

それから先ほどのようにものすごい試合はなかったものの、なかなかの実力者たちが勝ち進んでいることはわかった。



「続いては45番。」
またぞろぞろと入ってくる。

「あっ!ヴァンだよ!」
ランナがひときわ目立つ赤い髪を指さした。
「なんか安心だな。」
アシェルがポツリと呟く。

「はじめ!」
合図と同時に。

ヴァンクールが消えたのだけはわかった。
そのまま他の人たちがバタバタと倒れていく。

「ワー!」

気づいたらヴァンクールはリングの真ん中に立っていて、そのあとすぐに帰っていった。


「続いては46番!」

ーその後はいくつか「おぉー!」と試合はあった。

ーーーー

「最後は61番!」


「シエル最後かー」
ヒロが少し疲れたように近くの壁にもたれかかっている。


シエルはもう鎌をだしてやる気満々だった。
やっぱり小さな女の子が大きな鎌を持っている様子は見慣れないようだ。
「あの子ヤバくないか…」
所々で聞こえてくる。


「はじめ!」

シエルはいきなり鎌を思い切りふった。
「あー。」


シエルの風で全員場外。

みんな呆然としていた。
アシェルだけクスクスわらっている。

「すごいですね…。
これで61人の進出が決まりました!!
明日も張り切っていきましょう!」

「ワー!」

あたりはすっかり暗くなっていた。


本戦出場者は近くのホテルにタダで泊まれるようだから、3人は宿に戻った。




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