開会

「おはよ〜」
ヴァンクールがふらふらと宿屋の一階に降りてきた。

「遅いよ!そろそろ迎えに行こうと思ったのに、」
シエルが眉をよせてあきれているようだ。


「まあ、早く行こう。」
アシェルがシエルを宥めるような口調でそのまま宿屋の扉を開く。

ヴァンクールはソルフレアの眩しい太陽の光をさんさんと浴びて、目を細めた。

ーーーー


コロシアムについたとき、ランナは入り口のボードをみて
「ヴァンとシエルはここでお別れだ…」
言った、

ボードには
『ここから選手は右手で名前が呼ばれるまで待機。それ以外は左手の観覧席にどうぞ。』
と書いてあった。


「じゃあ、俺たちは見とくから頑張ってね」
ヒロはにっこり笑って手をふる。シエルとヴァンクールは微笑んで右の待機場所に入っていった。


ーーーー

「うっ。強そうだね〜」
シエルが嫌そうに目を細めて口にてをあてた。

みな鎧を着たり、剣を握ったりしている。
そして共通でとてつもないやる気に満ちていた。


ヴァンクールはクスッと笑って「大丈夫だ」と囁く。
そして、なかなかでかい人をゆびさして
「ほら、あんな奴ばっかりだからスピードで圧倒できると思うよ。」
とまた笑った。

シエルはうんとうなずいてから、近くのベンチに腰をおろす。
ヴァンクールはそのシエルの前に立って、辺りを見回していた。


ーーーー

アシェルとヒロとランナは観覧席につくなり驚いた。

「すごい人だな〜」
はっきり言って、もう座るところなんかない。
仕方なく、比較的空いているところで立って真ん中のステージをボーッとながめていると。

「ハーイ!第52回ソルフレア闘技大会が始まりまーす」
女の人の声のすぐあとに
「ワー!」
と客の歓声がコロシアムに響き渡った。

「今日お越しいただいたのは、サンヘルゼンのハイドラ王、カストレのソード王…」
その瞬間、アシェルは自分とソード王以外の色がなくなったような感覚に襲われた。
アシェルは一瞬で高く手を上げるソード王を見つけて、怒りのような悲しみのようなよくわからない気持ちになったのだ。

「アシェル?」
ランナが心配そうにアシェルを見上げている。

「あっ。大丈夫だよ」
アシェルは苦笑いして、またソード王をみる。

(まだ生きてるのか…)
そして強く拳を握りしめたのだった。



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あきゅろす。
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