エントリー

「やばい。」
シエルは目をキラキラさせて町の歩道を歩いていた。
シエルは店のショーケースの前で立ち止まる。
「あっ!」

「欲しいの?」
ヴァンクールが一緒にショーケースを除きこんだ。

「うん。…でも、」
シエルは太めのカチュームを指さして
「えっ!?たかっ!」
ヴァンクールはかなりでかい声をあげた。

値段は12000と書いている。
「ヴァンクール、うるさいぞ。」
「ごめん…でもな、」
ヴァンクールは値札とにらめっこしている。

するとランナがアシェルの耳元で
「ヴァンってね、意外にお金に厳しいんだ。
きっとシエルに買ってあげたいけど、
今ヴァンの頭の中でかなり緻密な計算がされてるんだと思うよ。」
アシェルはそれを聞いて、ちらりとヴァンクールを見る。

「なぁ。闘技大会で入賞したらいいんじゃないか?」ヴァンクールはそれを聞くなり、

「あ〜!」
とアシェルに親指をたてた。

「頑張ろうね!ヴァン。」
シエルも嬉しそうに近くのヒロにくっつく。


みんなの元気とやる気が高まったところで、闘技大会の会場へと向かった。


「どこ〜?」
ランナが若干しんどそうにヒロに尋ねる。

「たしか、でかいコロシアムがあるんだけど…」
するとシエルが

「あの人たちに聞いてくるよ!」
と言って、明らかに金持ちの男性の方へ走っていった。

「「…」」
「シエルは正直でいいな。」
ヒロがにっこり微笑む。




「わかったよ!このまままっすぐ行けばいいみたい。」
シエルはニコニコしながら先頭をきった。


ーーーー

〜コロシアム〜

入り口から入ってすぐのところで係りの女の人に
「すいません。それ以上は立ち入り禁止です。」
と止められた。


するとヴァンクールが
「受付ってどこでするんですか?」
と微笑んで聞くと、

係りの女の人が少し顔を赤らめてから
「あっ…こちらになります。」
と案内してくれた。

するとシエルがボソッとヒロに
「今、媚びうる必要あった?怖いねーヴァン。」
と呆れたように言う。


「エントリーは誰がなさいます?」
受付の女の人が丁寧にたずねてくれた。

「その前に簡単なルールを教えてくれませんか?」
ヒロが受付の女の人に微笑みかける。
女の人は少し顔を赤らめてから
「は…はい。」

(ヒロまで〜!?)
シエルは少し悲しかった。

「まずですね。簡単に説明します。ルールは簡単!相手を気絶させるか、降参させれば勝ちです、しかし相手を殺してしまえば、負けとなります。
これだけです。」

アシェルはこれを聞いて、
「心刀は使っていいの?」
と微笑みかけると、
女の人はまた顔を赤らめて
「もっ…もちろんです。」
と照れながら呟いた。


(こいつらぁ〜!)
シエルはイライラしている。
アシェルなんか、「完全にわざとやりました」という顔でピースしてシエルを見た。

「俺でもできました。」
すごく小さい声でシエルに囁く。
「うるせえな!」
シエルは思い切り足を蹴りつけた。

「っ…ー!」


「エントリーだれがするの?」
ランナが無邪気に微笑んだ。
「あっ…俺はでるよ。」
なぜかヴァンクールが照れながら手をあげる。

「(今のはいいな。)あたしも出る!」

「僕は出ない…。ヒロとアシェルは?」
2人とも、うーんと考えてから、
「「おれはいいや。」」
と同時に呟いた。


「そうなの?」
シエルは目を丸くして、ふーんと言った。

闘技大会。出場者はヴァンクールとシエルだけとなった。


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あきゅろす。
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