なんとかしないと

窓から外を眺めると、
「でけー。」
アシェルはカストレの城下町を思い出した。
『うん。似てるね…』
どこかフレイルは悲しそうに呟く。

「着陸するよー」
ランナの声が船内に響いた。

その時、ガコンッと船内が揺れた。
「きゃあ!」
揺れと同時にアシェルは転けそうになったシエルをガシッと捕まえて、ソファーをもった。

「ありがとう」


その後、ようやく音と揺れがなくなり、窓を見てようやく着陸したことを確認した。

「出るぞ、」
ヴァンクールに続いて、アシェル、シエルと外に出る。

すぐあとにヒロとランナも出てきた。

「うわ。早くいこ!」
シエルが目を輝かせて指をさす。

みんな頷いて、ソルフレアに向かった。



〜カストレ〜


カストレの城の騎士団の部屋で

「生き残ったの、カレンだけか、」
とエージェントが小さく外を眺めながら呟いた。

「国王も6番のオリバーが死んだことには驚いていたよ。」
3番アルヴァが下を向く。
それを聞いて、髪を束ねた女性が
「ヴァンクール…次はソルフレアに向かうみたいよ。」
と言う。

「どうせ大会にでも出るんでしょう?ところでイクサは?」
いかにもナルシストの金髪の男はキョロキョロした。

「王子と姫様のところじゃないかな?」
エージェントは窓枠に座って、金髪の男を見る。

「イクサはお二人になついてますねー。
やっぱり年がそんなに変わらないからですかね?」
メガネをかけた女性はクスリと笑った。



「ところで、騎士も少し人数が減ったよね。ヴァンたちに3人も殺されたし、フレイルは心刀になっちゃうし、仲間なのにエルはセイカに殺されちゃったし…まあカレンが入団したけどさ。」
エージェントが目を細めて爪をかんだ。

アルヴァは腕を組んで、
「ウェルテスはだいぶ良くなっている。ヴァンクールに太刀打ち出来るのは、はっきり言ってエージェントとウェルテスとイクサと私しかいない。
セイカはもういないようなものだしな。」



「でも、奴等はきっとせめてくる。」
全員が入り口に目を向ける。そこには長身の青年ウェルテスが立っていた。

「一番辛いのは、なんにも国王からバレンチアの生き残りがいることも、バレンチアを襲った理由も知らされていない王子と姫様だ。
彼らはずっとバレンチアとの戦争を否定していた。
国王がご病気の今、ヴァンクールがこの国を潰す…いや復讐のために狙うのは次期国王の王子だ。」
ウェルテスはギュッと唇をかんだ。


今の国王は最低だから、せめて立派な王子だけは…
ほとんどがそう思っていた。


今のカストレにとっての敵は、ヴァンクールたち、セイカ。



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