イチゴ

「みんなでやれば楽しいから!」
アシェルはニコニコしながら、ボウルを出す。

ヴァンクールはそんなアシェルをじっと見つめてから、一度下を向いて。

「わかったよ」
と、顔を隠すように呟いた。

その様子をシエルは見ながら、またニヤニヤしていた。
(ケーキ作りと、2人の観察…どっちに集中しようか…。)
「シエル。」
ヴァンクールはこういう時の独特のシエルのニヤニヤには敏感に反応する。

「なあーに?」


アシェルはせっせと用意しながら
「そうだ2人とも用意しろよ。汚れるかもよ」


「はーい。」



数分後。

「へーい!」
何故かハイテンションでシエルが登場した。

「可愛い〜?」
エプロン姿のシエルはセクシーポーズをとってアシェルを見つめる。

「ポーズ。間違ってるよ、」
アシェルは全くシエルを見ないで、生クリームをかきまぜていた。

シエルはムーッとしてからキッチンに入ってきた。

「ヴァンまだ?」
アシェルがシエルを見て不思議そうに問いかける。

シエルは辺りを見回してから、首をふった。

次の瞬間、
「遅くなってごめん。」
ヴァンクールがとぼとぼと登場した。

「マスクがなくって…」

ヴァンクールはきっちりと赤いエプロンを着けて、頭には三角巾までつけている。
しかも「マスクがない」などと言っている。

((めっちゃやる気じゃん。))


「ヴァンクール。生クリームまぜてくれ。」

ヴァンクールはうなずいてボウルを受けとる。

アシェルは先ほどから焼いていた生地を見ながら、
「シエル。冷蔵庫からイチゴ。」

「まかせて!」
シエルはとても嬉しそうに、冷蔵庫からイチゴを出してきた。

「ヴァンクール。生クリーム生地に塗って。」

「わかった。」

ヴァンクールはてきぱきと生クリームを塗っていく。

「シエル。皿だして。」

「わかった!!」
シエルは嬉しそうに棚に走った。

最後にアシェルは適当にイチゴを盛り付けて、くるくると生地をロールする。

「あっ。美味しそう。」

アシェルはニコニコしながら包丁で切っていく。

「まっ。みんなのお陰だ!」
シエルがほぼなにもしていないことは、シエルは知らなかった。


その後、ヒロとランナにもとても喜んでもらえた。



そして、

「ソルフレア。見えてきたよ!」
リビングにヒロが駆け込んできたのだった。



[*前へ][次へ#]

2/63ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!