幻のコック再び!

「あっ!ヴァンー」
ランナが飛行船の入り口で大声を出して手を振っている。

アシェルもひょっこり顔を出した。

「よぉ。お帰り。」
そう微笑んだ瞬間。

ビュンッ
「っ!」
2人の目の前を何か黒いものがとびさって…
ヴァンクールの顔に張り付いた。

「うわっ!」
ヴァンクールは驚いて、顔から剥がす。

「ニャー」
ヴァンクールの目の前にいたのは、愛猫のムーだった。

全員が飛行船から出ていっている間。
ムーは一人で待っていたのだ。

「おいおい…
この猫。飯とかどうしてたんだよ…」
アシェルは苦笑いでムーを見つめる。

するとヴァンクールはムーを抱えなおして、頭を撫でながら微笑んだ。
「俺がちゃんと、ムーが一人でいれるように用意していった。」

するとそれに付け足すようにランナが
「ムーはめちゃくちゃかしこいんだぜ」
とニッと笑う。

アシェルは胡散臭そうにしてムーを見つめる。
(絶対ただ者じゃねえ…)



その時機体の中から

「アシェルさん!ランナ!出発準備できました〜」
ヒロが叫んだ。

ランナは
「おっけー!」
と叫んでから中へ入っていった。

それに続いて、アシェルとヴァンクールも飛行船に入る。


ランナはそのまま、ヒロのいる操縦室へと向かう。

アシェルとヴァンクールはシエルのいるリビングへと向かった。



「あっ!ヴァン帰ってたんだ〜」
シエルがソファーに座りながら、ヒラヒラと手を振った。


ヴァンクールはいまだにムーの頭を撫でながら、シエルの前に座る。

「話は終わったんだ。」
「まあな。」
それを聞いてシエルは笑っただけだった。



アシェルは紅茶を用意しながら2人の会話を聞いていた。

(シエルっていつも深く追求しないよな。)
『そうだね。
長い付き合いだから、だいたいわかるんじゃないかな?』
フレイルはなぜか嬉しそうに笑っていた。


「あ〜あ〜!」
するとシエルがアシェルを見ながら勢いよく走ってきた。

「えっえっ!?何なに!?」
アシェルは驚いて後退りする。

シエルはアシェルの隣に立って、
「あたしがやるよ!
紅茶くらい…
あたしは女の子だから、家事できた方が女の子らしいでしょ!」

シエルは少し顔を赤らめて棚からコップを取り出した。


ヴァンクールはその様子をどうでもよさそうに、なぜか睫毛を抜きながら見つめていた。

「まだ紅茶はいいよ。」
アシェルはニカッと笑って、
「今からケーキ作るんだ。」


シエルは目を大きくして
「あっあたしも手伝う!」と、目をキラキラさせた。

ヴァンクールはそれを聞いて、
「おい!シエルは手伝うくらいにしろよ。アシェルに従えよ!」
と焦りながらキッチンに向かって叫ぶ。
それを聞いたシエルは

「何よ!
あんたなんもしないくせに。あたしは料理の向上を目指してるのよ!」
「だったらなおさら教えてくれる人の言う通りにやれよ!
お前は舌がアレだから、いつも手を加えるんだ。」

アシェルの目の前で言い争いが始まった。
「ヴァンクール。言い過ぎじゃないか?」
アシェルは困った顔でヴァンクールを見つめる。


ヴァンクールはなぜか焦って顔を赤く染めて、
「アシェルはシエルの飯を食べたことないからっ!
命に関わるぞ。」

シエルはそれを聞いて、
「あたしだって頑張ってるもんっ」
とプイッとした。


その時
パンッ
手を叩く音ど同時に
「じゃあ3人でやろう。」アシェルのこの一言

「さんせー!」
シエルは大喜び。

「うぅ…」
ヴァンクールは沈んだ。



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あきゅろす。
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