時雨とエージェント

「時雨だっけ?
お前、どこで強くなった?」

森入って2分くらい突き進んだところにある沼地についての、第一声がこれだった。

「はあ?
別にどこでもよくね?」
時雨はいかにも嫌そうに頭をかいてエージェントを睨み付ける。



エージェントはふぅーと大きなため息をついてから
「まあ、今から死ぬ人に聞いても無駄だよね。」
とニヤリと笑った。

ピクッ。

その言葉にイラついた時雨は
「その言葉そのままお前に返すよ。」
と言いながら

スッと刀を構えた。


エージェントはそれをみて眉をひそめる。

(変な構え。)



「先にどうぞ!」
エージェントは大声で時雨を挑発する。


「そりゃどうも!」
時雨はいきなりすごい力でエージェントに斬りかかった。


エージェントはつまらなそうに木の上によけた。

ドゴンッ
刀で斬る音にふわさしくない音が沼地にこだまする。
しかし
「はっ?」
エージェントは素早く反対の木に移った。

ビュンッ

エージェントが先ほど乗っていた木は何かに切り刻まれていて、原型を保っていなかった。

しかもその木だけでなく、その同一直前上の木がほとんどバタンバタンと倒れていった。


エージェントはそれを見ながらまたニヤリと笑う。

エージェントはボキボキと手をならしながら。
「すごいね。僕なんかすぐに粉々になっちゃうね。」

そう言うと、
時雨の目の前から消えた。

「…」
周りを見回す。

するとエージェントが急に目の前に現れた
「ッ!」

時雨は精一杯の力で後ろにジャンプした。

エージェントは手刀で、追うように手を伸ばした。
前髪がすこし切れる。


ズザザーッ。
地面に着地した瞬間、目の前のエージェントが消えたと思うと、ゴキン。
腰に強い痛みを感じた。


そして大きな体が吹き飛んだ。

小さな少年の一蹴りで。



「僕がウェルじゃなくてよかったね〜。」



時雨は蹴られた後、強く体を木に打ち付けて静止した。

ゴホッゴホッ
時雨が強く咳き込むと、赤い血液がパタパタとじめんに飛び散った。




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