コミュニケーション力(ナカサユ)
「ナカジ君ナカジ君」
一度名前を呼ぶだけじゃ反応しないとわかっている彼女はオレのことを二度呼ぶことにしている。
だから仕方なく声のするほうにほんの少しだけ見ると視界に笑顔の彼女がいた。
「おはよう!」
「…おはよう」
最近朝は冷える
時期が時期だからだろうが
お気に入りのマフラーを巻いても歩いて学校に行くもんだから寒い。
ちなみに黒いタイツをはいて防寒対策をしている彼女も歩き
短い挨拶をかわし、彼女はオレの近くに歩み寄ってきた。
「今日も冷えるね」
「そうだな」
「今日テスト返ってくるね」
「そうだな」
我ながら同じ言葉を相手にぶつけるのもどうかと思うが、あまり人というのに関わりをもちたくないからかと思う。
隣で歩く彼女を横目にみると下を向いている。
困らせただろうか
何か話題を…といっても自分は世間に疎い(というか興味ない)ので今時の話題が思いつかない。ああ、そうだ。
少し前から思っていた疑問をぶつけよう。
「お前ってさ」
「ん?」
唐突に話しかけたので半分驚いたのか彼女の声が裏返った。
「どうしていつもオレにかまうんだ?」
あ いや、言い方が悪い。
そういう意味じゃなくて
ああもうこういう時に普段のコミュニケーションが必要だな。
これではまるで彼女を突き放すような言い方だ。
「…そうだなぁ」
今の言い方で普通に反応してくれた。
「ナカジ君と もっとなかよくなりたいからかな」
答えは今のオレにとって一番嬉しい答えだった。
ここで彼女にとびついたらどんな反応するだろうか
…柄ではないのでしないが
朝の空気がほんの少し暖かくなった気がした。
なかさゆ
ふとした会話があうと思います。
そして本当に言いたいことをうまく言えないタイプの2人
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