醜い少女(ユリかご)
醜い、という言葉は私にピッタリな言葉だった。
私は、いつも歌い終わって舞台から降りる彼を追うファンと混ざろうとせず、先に家に帰る。綺麗な彼女達の中に一人ワンピースを着た裸足の女なんて醜いじゃない。だから、彼に見つからないように早く帰る。
コンサートが終わった後に歩く夜道はより一層私を醜く、孤独にさせる。
だって言えないじゃない。「彼は私のものよ」、なんて。
家に帰るとポエットが暖炉の近くで寝ていた。私は起きないようにそっと毛布をかけて、自分の部屋にと戻った。
彼は今何をしているのだろう
重い女なんて思われて欲しくないわ。言わせれば想い女なのよ
ボーっと窓の外を見てみると3人が帰ってきた。
私は布団に入って寝たフリをする。なんだか親に怒られそうな子供みたいだ。
今は会いたくない。一番惨めに見える日だから。
キィ、と扉が開く音がした。心臓が大きく跳ねた。
「かごめ?」
寝たふりをしているので私は声を出さなかった。
「ただいま」
彼は私がおきているかのように優しく私の頭を撫でた。
ああ もう
だから彼を手放すなんてできないわ
だって
まさかの鬱かごめ
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