「ねえ縁寿、縁寿のためにチョコ作ってきたのよ。受け取って?」 「ええ、勿論よ。ありがとう、愛してるわ。」 長机に寄り添い座る二人。名前が綺麗に包装された小箱を取り出すと、心なしか縁寿の目が輝く。 「…あ、あんまり美味しくないかもしれないけど。不味かったら返してくれていいから!」 「名前の作ってくれたものが不味いはずないじゃない。」 そう言って縁寿は、小箱を空け中の焼き菓子を口に放り込んだ。 甘さは控え目で、縁寿の好みを熟知した味になっているその焼き菓子に、縁寿は感嘆せずにはいられない。 「…おいしい。私、これ好きだわ。」 「良かったあ!少し甘すぎたかな、と思ったんだけどね。」 縁寿の言葉に、名前は頬を染めて喜ぶ。それは縁寿をもつられて微笑んでしまうほどの、愛らしい笑み。 「ねえ名前、あーん。」 「えっ、え、恥ずかしいよ!」 「…いいから。」 恥ずかしさに躊躇しながらも渋々開かれた名前の口に、縁寿が焼き菓子を放り込む。 「名前はもうちょっと甘い方が好きよね。」 「うん、えへへ。」 「そう言うと思って。」 ちゅ、と。 縁寿の唇が名前のそれに触れる。 耳まで赤面した名前を見て、縁寿は満足そうに微笑んだ。 「どう、甘くなった?」 「…う、ん。」 「愛してるわよ、名前。」 「もう、恥ずかしいってば!…でも、私も愛してる。」 言葉が途切れた数秒の間に、二人は見つめあい、そして再び唇が触れ合った。 「あの…」 そこに水をさす人物が一人。 「なに?お兄ちゃん。邪魔しないでほしいんだけど。」 そういうのはよそでやってくれませんか? (一応皆いるんですけど…) (関係ないわ) (ないわー!) (ですよねー。) ---------- 誰もが引っ込めバカップル!といいたくなるような作品を目指しました。 *バレンタインフリーでした。現在はフリーではありません。* 20100220 のあ初季 [←][→] |