椅子に座っている私の膝に、さくたろうが顔を伏せて昼寝をしていた。
風にふわふわと揺れる金糸を指に絡ませたりして遊びながら、昼下がりのテラスの陽光を楽しむ。
春の日差しは暑くない程よい暖かさで私とさくたろうの体温をゆっくり上げていった。
「う?さくたろう?」
「…しー。」
さくたろうと遊ぼうとやってきた真里亞が、私の膝の上で眠っているさくたろうを見て首を傾げる。
さくたろうを起こさないように、と人差し指を立て静かにのジェスチャーをした。
「うー。しー!」
それを面白がって真里亞が真似する。自らの頬が緩むほど笑顔が愛らしい。
少しの間さくたろうの寝顔をじっと見ていた真里亞も、やがて飽きたのかさくたろうの隣で私の足に寄りかかって寝息を立てはじめてしまった。
二人分の頭の重みが私の膝にかかっている。これが、幸せの重みというやつだろうか。
二人の寝顔を見つめると、自然と顔が綻ぶ。
「あれ…。」
気付くと傾いた陽がむこうで赤くぎらついていた。私には華美な刺繍のタオルケットが掛けてある。
「うりゅー!名前、おはよう!」
「さくたろ…。」
まだぼーっとする目をこすって、時計を見た。
最後に時計を見たときは二時近くだったから、ゆうに一時間は経っている。
「真里亞まりあー!名前が起きたよ!」
「あ、おはよう名前。一緒におやつのクッキー食べよう!」
「私寝ちゃってたんだ。」
「うん。だから僕と真里亞でタオルケット掛けてあげたんだよ。ね、真里亞ー?」
「うー!名前ぐうぐう寝てた!」
「そっか。」
おやすみとおはようの幸せ
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やっつけ
20100126 のあ初季
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