超短文
一歩一歩歩くたびに腕の中で今にも転げていってしまいそうな缶ジュース達ががちゃがちゃと賑やかな音を立てる。
私も缶ジュースも暑さで汗びっしょりだった。
別にパシリにされている訳ではない。何故か沢山出てきてしまったのだ。
「…いっそのこと、すれ違った人にみんなあげちゃおうかな。」
疲れて口が緩んで、ついそんな言葉が漏れてしまう。
「それじゃあ、一本貰えますかね。」
「へ?」
不意に、一本のオレンジジュースが掴まれて浮いた。背後には男の人。
「災難でしたねェ。いや、こんなにいっぱい出て寧ろ幸運か…。」
「…あ、はは。見てたんですか。どうぞ、持っていってください。」
私がそう言うと、男の人はどうも、いただきますと言って缶を開けた。
格好良い人だなあ…これは素晴らしいイケメン。
「良かったら、護衛しますよ。」
「は…?護衛…?」
「ジュースのお礼です!」
ごろん、と大きな音をたてて男の人の腕の中に缶ジュースが零れ落ちていく。
ジュースを全て受け取った男の人は私の腕を引いて、にっこりと笑った。
「どこへ行きますか?名前嬢。」
(私の、なまえ…)
(お嬢のお友達の魔法、良く効きやした)
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お嬢のお友達は真里亞。
200100118 のあ初季
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