[携帯モード] [URL送信]
 
学パロ



静かに、とすぐ頭上で声がする。
日陰で湿った冷たい壁の感覚が、背中にじんわりと伝わってきた。

天草君の胸板に鼻が当たって少し痛い。少しして、むこうのほうを先生の怒鳴り声が通り過ぎた。

壁と天草君にぎっちりと挟まれてしまって身動きできない私は、先生がいったかどうか確認できない。



どれくらいそうしただろうか。
何度か先生の声が近づき遠ざかる繰り返しが終わったあと、天草君が少しだけそっと離れた。

「もう大丈夫ですぜ。」

「…あ、ありがとう、天草君。」


にっこりと笑う天草君を直視出来なくて、俯いてしまう。
そんな私を天草君は気にする様子はない。

「それにしても、ベアト先生かんかんでしたねェ。何やらかしたんですかい?」

「えっ、と…年齢のことに触れたら突然すごい怒り出して…」

そりゃまずいや、と天草君がけらけら笑う。うう、笑い事じゃないのに。

「と、とにかくありがとう。もう大丈夫だから、離して?」

離れたとはいえ、私の顔のすぐ横に天草君が手をついていて、顔もとても近い。

無理やり振り切って逃げることも出来るけど、仮にも助けてくれた相手にそれは失礼過ぎる。

「あー…。」

うーん、と唸り何故か天草君は頷いてくれずに頬を掻いた。
その様子を私は首をかしげて見つめる。



「とりあえず俺に惚れるまでこのままで」





--------
クサい

20100118 のあ初季

[←][→]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!