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ハッピーデイズ!(第2子パロ)


※第2子パロです。「イヤだ!」っていう方は回れ右、「ばっちこい!」っていう方はそのまま↓からどうぞ!
























ここが病院ということも忘れて、物凄い勢いで廊下を走った。

すれ違った看護婦さんに注意された気がする。


目的の場所に着くとヴィヴィオがひとり長イスに座っていた。




「ヴィヴィオっ、なのはママは!?」
「もうフェイトママ落ち着いて!ここは病院なんだから」
「ごっ、ごめん…」
「なのはママはもう中で頑張ってるよ」
「なのは…」




固く閉ざされたドアを見つめる。
中の様子を伺い知れないのがもどかしい。








始まりは三月まで遡る。

ヴィヴィオのひとことがきっかけだった。




「ねぇ、なのはママ、フェイトママ、私弟か妹が欲しい」
「え?」
「…っ!?」




リビングで家族団らんの時間。何気なくテレビを見ていたヴィヴィオがとんでもない爆弾を落とした。


なのはは一瞬なんのことだかわからずきょとんとし、私は飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。


私が固まってしまったのを見たなのはがヴィヴィオに戸惑いながらも聞く。



「どうしたの急に?」
「急じゃないよ。ずっと前から思ってた。弟か妹が欲しいって」




ヴィヴィオが体を向き直して私たちを真っ直ぐ見る。


人を見るときは真っ直ぐ相手の目を見るのはなのは似なんだなと混乱する頭の隅で小さく思った。




「(いやいやいや、今はそうことじゃなくてっ)」
「だから私ちゃんと調べたの」
「な、何を?」
「ママたちに子供が出来る方法」
「っっ!?」




いよいよ私の頭は事態を飲み込めきれなくなっていた。
どうしてそんなこと、とか、ヴィヴィオはまだ十歳だと思っていたのに、とか思考が何が本質なのかを履き違えている。




「ヴィヴィオひとりで調べたの?」
「ううん、はやてさんに頼んだの」
「は、はやて…!」




タヌキ顔の小柄な親友がしてやったりと笑っている様子が容易く想像できる。

はやてに頼むイコールシャマル先生も加わる。
医療の専門であるシャマル先生が出てくるのは妥当と言えば妥当だ。




「だからね、わかったの方法。シャマル先生がママたちさえよければ、今すぐにでもお話しましょうって」
「は、早いね…」




なのはが思わず苦笑いしている。



正直、以前こういうことを二人で少し考えたことはあった。

当時は、まだそういう医療が研究され始めた頃で、確立した方法は無かった。

だから、いつかそういう方法ができるといいねと二人で夢物語のように話していた。

それからヴィヴィオという愛娘が出来て、自然とそういう話が会話に出ることは無くなったのだった。



そこで聞かずにはいられないことがひとつ。




「ヴィヴィオはいいの?もし、なのはママとフェイトママの子どもができたら、その…血の繋がりとか…もちろんヴィヴィオが私たちの子どもだっていうのは変わらないよ!ただヴィヴィオの気持ちはどうなのかなって思って…」




しどろもどろになりながらもヴィヴィオに問いかける。

でも家族関係に関わる大切なことなのだ。




「大丈夫だよ。だってちゃんとなのはママとフェイトママが教えてくれたじゃない。ヴィヴィオは二人の娘だって」
「ヴィヴィオ…」
「私、ママたちに新しい家族をつくって欲しい」
「うん…ヴィヴィオ」




なのはがヴィヴィオに近づいて、優しく抱きしめる。

その顔はよく見ると涙ぐんでいるようだった。


ヴィヴィオの気持ちに感慨深く思っていると、なのはが私に向かって口を開く。




「フェイトちゃん…私、子ども欲しいな」
「なのは…」
「どう、かな…?」




なのはが不安そうに聞いてくる。


そんな顔をしなくても、もちろん私の答えは決まっているのに。



私は二人に歩み寄り、二人の体ごと思い切り抱きしめた。




「つくろうか…新しい家族」



















それから、三人でシャマル先生のところへ行って、ひとつずつ慎重に話を進めていった。

今ではそういう技術が確立していて、成功例も十分な数であるのもわかって、家族づくりに踏み切った。


それからすぐ、新しい生命が宿ったとわかったときは涙が出るほど喜んだ。



そうして月日が流れて今日という日に至る。




室内のなのはが心配で貧乏揺すりをしたり組んだ手の指を忙しなく動かしたりとじっとしていられない。




「フェイトママってば、落ち着いてって」
「あう…っ、ごめん…で、でも…」
「なのはママなら大丈夫だから、ね、信じようよ」
「う、うん…」




そして、その瞬間が訪れた。



元気のいい産声が上がる。
私とヴィヴィオは勢いよく立ち上がると、ドアから担当の先生が出てきた。




「無事終わりました。中へどうぞ」



促され中へ入ると、額が汗でびっしょりのなのはの隣に、助産婦さんに抱っこされている新しい家族が元気な産声を上げていた。




「元気な女の子ですよ。はい、抱っこして上げてください」
「はっ、はい!」




言われたようにそっと抱くと、自然と涙が溢れてきた。


大仕事を終え、ぐったりとしているなのはに歩み寄り、声をかける。




「なのは…」
「フェイトちゃん…」
「お疲れさま…ありがとう…」
「フェイトちゃん、名前…」
「え?」
「決まってるんでしょう?」




なのはがふふふ、と嬉しそうに笑う。
なのはにちゃんと言ったことはなかったのに。どうやら何でもお見通しのよう。


腕の中の我が子の顔を見つめる。





「うん、この子の名前は…」

















初めまして、生まれてきてくれてありがとう。

これから一緒に歩んでゆこうね。




この日、私たちの新しい家族ができました。




end




あとがき
書いてしまいました第2子パロ。(^-^;)
ていうかフェイトさんがダメパパすぎるww
第2子がどんな子か気になる方はらくがきをチェックしてみてください(笑

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