メルト・アット・ホリデイ(140000hit&2周年記念SS・フェイなの)
腕の中の温かな存在がもぞもぞと動くので目が覚めた。
ゆっくりと視線を下へ動かせば、亜麻色の綺麗な髪がシーツに広がり、細くて私よりも小さな指は、ぎゅっと私の寝間着を掴んでいる。
仕事中では絶対に見ることのできない子供のようなあどけない寝顔に自然と頬が緩んだ。
時計に目をやると、針が午前九時にさしかかろうとしている。
今日は六課に配属されてから初めての二人揃ってのオフ。
愛しい彼女の髪を指で梳けば、絡むことなくさらりとした艶やかさを見せつけられる。
「ん…、んー…」
「…なのは、おはよう」
「…おはよ、フェイトちゃん…」
「まだ眠い?」
「ちょっとだけー…」
そう言ってぐしぐしと胸に顔うずめて擦りよってくる姿は、日頃厳しい訓練を受けている彼女たちが見たら、さぞかしびっくりすることだろう。
「えへへ、ここに住んでから初めていっしょのお休みだね、フェイトちゃん」
「そうだね…同じ部屋でもなかなか時間がつくれなかったし…」
お互い、それぞれが受け持っている仕事が忙しく、六課創設直後の慌ただしさというのもあって、寝る時間さえあまり取れない日が続いた。
実際、昨日だって私が帰ってきたのは、なのはがすっかり寝てしまった後。
日によっては逆の場合もある。
「今日はどうしようか、なのは?」
「うーん…」
「とりあえず朝ご飯の用意しちゃう、ね…?」
ベッドから降りるために体を起こそうとすると、腰に腕を回されてしっかりホールドされていた。
「えっと、なのは…?」
「…や」
「や、って、朝ご飯食べたくないの?もしかして疲れてる?」
「ちがうの」
「え、と、じゃあ何で?」
何か気に障ることをしてしまったのだろうかと思い、おそるおそるなのはの顔を覗き込む。
なのはは真っ直ぐ私の瞳を見つめ返した。
「シよ、フェイトちゃん」
「え…えぇ!?」
一瞬何のことだかわからなかったが、すぐに理解した私は間抜けな声を上げた。
「な、なのは、一応言うけどまだ朝だよっ?」
「うん、知ってる」
「明るいうちからするのはどう、かな?」
「だってずっと忙しかったからシてなかったじゃない」
「それは…そうだけど…」
さすがにこんな時間から盛るのもどうかと思い、やんわりとなのはを説得してみる。
しかし、なのはの意志は強く、なかなか納得してくれない。
「…もういい」
「え?」
「なのはがフェイトちゃん脱がしちゃうから」
「ち、ちょっとちょっと!?」
なのはは私の上に馬乗りになって私の服に手をかけようとするので、なんとか手を抑えてとどめる。
「なっ、なのは待って!」
「フェイトちゃん脱がされるの、イヤ?」
「そ、そういうのじゃなくって!」
「…じゃあなのはが脱ぐから」
「ええ!?」
そう言ってなのはの手は私の手をすり抜けて、自分のパジャマのボタンをポチポチと外していき、あっという間に下着のみになってしまった。
無駄のないキレイな体に生唾を飲む。
「フェイトちゃん…」
「なっ、なのっん…!」
抵抗する間もなく、頬を両手に包まれ、唇を塞がれた。
角度を変えて、啄むようなキスを何度も何度も。
その感覚に酔いそうになったとき、急になのはの顔が離れた。
「…っは、なのは…」
「…ゴメン、やっぱり嫌だよね」
「え?」
「なんだか自分勝手、だよね…フェイトちゃんはしたくないのに…今さらだけどごめんね…」
「なのは…」
急に声を落として俯いてしまったなのはを見て、私は何だか申し訳ない気持ちになった。
時間や行為がどうであれ、なのははただ、久しぶりの二人きりの時間を大切にしたいと思ってやっただけのことなのだ。
なのに私ときたら、それに応えてあげられてないではないか。
「…なのは、大丈夫、嫌じゃないからしよう」
「…ホント?」
「うん、ホントだから顔を上げ、て…?」
「えへへっ」
なのはの頬に手をあて、小さな子どもにするようにできるだけ優しく声をかけてみる。
さぞ悲しげな表情をしているのかと思いきや、その顔は太陽のような眩しい笑顔だった。
「…あ、あれ?」
「そっかぁ、嬉しいなフェイトちゃん」
「……」
「じゃ、シよっか」
「…うん」
騙されたと気づいた時にはもう遅かった。
熱い、柔らかな塊が私の唇に飛び込んで、シーツはあっという間にぐちゃぐちゃになっていった。
巧いように手のひらで転がされるのがいつものパターン。
どうやら二人揃った初めての休日の朝食は早速昼食と一緒になってしまうようだ。
end
あとがき
アンケートでなのはさんの誘い受が多かったのでフェイなの誘い受SSにしてみました。(・ω・)
…これ誘い受っていうか襲い受?(何
というかあまりにも表現が直接的ななのはさんになってしまってすみませんでした…!!orz
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