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ごほうび(130000hit記念SS・フェイなの)


シャーペンを走らせる右手が止まってからかなり経つ。

左手は無意味に消しゴムを弄ぶばかり。

手元にあるノートや教科書にいくはずの視線は前に座るなのはにいってしまう。



「…はぁ、フェイトちゃん?」
「っあ、ごめんっ」



私の視線に気がついたなのはがため息をついて名前を呼んだ。



「もう…テスト勉強しなきゃだよ?」
「わ、わかってるよ」



ここのところ仕事が続いてしまい、三日後に迫ったテストの勉強がろくにできていなかった。

そんなわけで、仕事がオフの今日はなのはの部屋で二人で勉強会をすることになったのだった。


しかし、どうしても集中できない。

なぜならば。



「だ、だってなのはに会うの三日ぶりなんだもんっ」
「最近お仕事ですれ違ってたもんねぇ」



そう、三日もなのはに触れていない。
もちろん、テスト勉強の重要性はわかっているつもりだけど、こればかりはどうしようもない。



「でもダメだよ、ちゃんとお勉強しなきゃ」
「…ぎゅってするだけでも、ダメ…?」
「だーめ。止まれなくなっちゃうでしょ、フェイトちゃん」
「あう…っ」




なのはの言うとおりなので反論できずに言葉が詰まる。


私はもしかしてなのはを困らせているんだろうか。
なのはだってテスト勉強しなきゃいけないのに、私はわがままを言っている。

これではなのはが呆れてもしかたない。



「ごめんね、なのは…」



すっかり落ち込んでしまった私を見てなのは苦笑いをして立ち上がり、そのまま私に触れるギリギリのところに座った。



「なっ、なのは!?」
「フェイトちゃん可愛い」
「えぇっ?」
「頑張ってガマンしようとしてるんだよね」



久しぶりに間近で見る、上目遣いのなのはの優しい眼差し。
その瞳に吸い込まれそうで、どくどくと心臓が激しく脈打つ。



「だからね、ご褒美あげよっか」
「ご、ほう、び…?」
「ガマンしてお勉強頑張ったらテスト終わったあと、私を、フェイトちゃんの好きなようにしていいよ」
「え…!?」



ばきゅん。
胸に銃弾が打ち込まれたような感覚がした。

胸元のリボンを指先で触る仕草が妙に色っぽくて、思わず生唾を飲む。



「ほ、ほんと…?」
「うん、だからね…」



なのはがぐぐっと顔を近づける。
やはり触れるか触れないかの、後ろから押せば簡単にキスができる、吐息が唇にかかる、そんな距離。



なのはの、私が好きな匂いが鼻腔を擽る。




「お勉強、頑張ってね…?私も頑張るから」
「う、うん…っ」
「あ、フェイトちゃん」
「な、に?」




なのはの唇が私の耳元に近づいて囁いた。





「大好きだよ」
「……っ!」



一瞬にして顔に血液が集中する。
特に、なのはが囁いた方の耳が熱くておかしくなりそうだ。



「…じゃ、続きしよっか」


なのははそう言って顔を離した。


そして、またさっきのように目の前に座って、すらすらと問題を解いていくのだった。








「(なのはずるいよ…)」






なのはの吐息がかかった唇に指で触れると、じわっと熱く感じた。




「(あんなこと言われたら、テストの後のことが気になって勉強に集中できないじゃないか…)」






どうやら、私の右手がまた動きだすのはもう少し時間がかかりそうだ。





end




あとがき
誘い受けのなのはさんが書きたかったんですが、これ誘い受けになりましたかね(何
なのはさんは飴と鞭の使い分けがお上手じゃないかと。
あとご褒美も単なるご褒美という意味だけではなくて「焦らすだけ焦らせば奥手なフェイトちゃんを積極的にできるの!」とか考えてたりなかったり…はいすみませんでしたorz
改めて、アンケートにご協力していただいた方々、ありがとうございました!

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あきゅろす。
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