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シーソーゲーム(エイラーニャ)
意識がだんだんと覚醒していく。

それに伴って右腕に感じる心地よい重み。


誰だか確認しなくてもわかる。



「んー、そろそろ起きルカー…」



緩やかな拘束を受けている右腕はそのままで、左腕だけで背伸びをする。



相変わらず隣のサーニャはすぅすぅと規則正しい寝息を立てていた。








サーニャはいつも夜間哨戒の後、寝ぼけて私の部屋に入ってくる。多分自分の部屋と間違ってるのだ。


そのことを前に宮藤や他の連中に話したらみんな同じようにため息をついたけれど、私には何が何だかさっぱりだった。

私の説明にどこか問題でもあったのか?







それよりもだ。おい見ろ、このサーニャの可愛らしい寝顔を!サーニャ以上に素晴らしく可愛い寝顔を持つやつを私は知らない。

時たまむにゃむにゃと動かす唇は、何故だか私をどきどきさせる。



ずっと見ていたいけど朝ご飯を食べなければいけない。ここは心を鬼にしてサーニャを起こしにかかる。




「サーニャ、そろそろ起きヨウ」
「んー…」




更に眠そうに私の腕に顔を擦り寄せるサーニャ。






「(サーニャ近いゾ…!近すぎるゾぉぉォォお…!)」




縮まった距離に対していったいどうすればいいというのだ!



もしかして私はサーニャに試されているのか?




いやいや、純粋無垢なサーニャに限ってそんな私が嬉しくなるような思考は持ち合わせてはいないはずだ。落ち着け私。

それにさっき心を鬼にしてと決めたばかりじゃないか。
余計な想像なんてしちゃいけない。



もう一度、今度は軽く肩を揺すって起こそうとする。




「サーニャ、起きテー。起きテくだサーイ」
「…にゃ…?エイ、ラ…」




ようやく起きてくれたサーニャ。





そんなことより。




「(に、にゃとか言ったカ!?今サーニャ、にゃって言ったのカ!?か、可愛いすぎるダローッ!!)」
「…どうか、したの?エイラ」
「あ、あぁ、イヤ、何でもナイゾ」




危ない危ない。またひとりであちらの世界に行きそうになってしまった。




とりあえず、二人とも制服に着替え始める。




どうやらまだサーニャは半分寝ているようで、ブラウスを持ったまま動きが止まっている。




「あぁ、ほらサーニャ、ちゃんと腕通さなキャ。ハイ、右手、次、左手」
「…ありがと、エイラ」




あぁ、窓から射してくる朝日のせいかな?
サーニャの寝起きの可愛い笑顔が眩しくて見えないよ。




またもやあちらの世界に飛び立っているとサーニャが思い出したように、声をあげた。



「…あ、そういえばね」
「ん?なんダ?」
「ハルトマンさんがね、私の睫長くていいねって言ってたの」
「中尉ガ?」
「うん、でね、私そんなことないと思うって言ったら、ハルトマンさんがエイラにも聞いてみたらって」
「へ?私?」
「そう…どうかな、長い…?」
「…?」




サーニャはあろうことか目を閉じてこちらを見上げてきた。




「(コ、コレじゃぁまるで、キキキキスの体勢じゃナイカー!)」





こんなどきどきの連続だと、朝にもかかわらず不埒な思考に走りかねない。


自分の中にある全ての自制心を奮い立たせる。





「うう、うんッ長いゾ!サーニャの睫は長いゾ!い、いいと思うヨ!」
「…そっか」
「…?」




どこか不満そうに見えたのは気のせいだろうか?





気がつけば二人とも支度はとっくに出来ていたので、食堂に向かうことにした。






しかし今日も朝から私は頑張った。よく手を出さずに頑張った。


今の私は自分を褒め称えたい気持ちでいっぱいになった。
すごいぞ自分、偉いぞ自分!



















「ハルトマンさん、やっぱりエイラ、何もしてくれませんでした…」
「あちゃー、やっぱり予想通りのへたれかー。絶対落ちると思ったんだけどなぁ…」
「私にはあの行動の意味がよくわからなかったんですけど…」
「あぁ、大丈夫大丈夫!私の言うとおりやってくれれば問題無いから!しっかしホントへたれだなーあいつ」
「…エイラの、ばか…」






end




あとがき
初エイラーニャSSです。
アニメ本編のサーニャが部屋を云々は確信犯にしか思えません\(^O^)/
何気に仲良しなハルトマンに色々と入れ知恵されればいいww(何
そして宮藤に対抗心を燃やしてるばかりに自分大勝利フラグに気づかないエイラが大好きですwww愛すべき鈍感へたれ!(笑

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あきゅろす。
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