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melt days(沙英ヒロ)
頭に柔らかい感触がした。


加えていい香りが微かにする。




「あ、沙英起きた?」
「…う、ん…」




まだ頭がぼうっとしていてうまく体を動かせない。




「ご飯届けに行ったら沙英また床で寝てるんだもん。とりあえずメガネは外しておいたからね」






そこで私はやっと膝枕されていることに気づいた。




「あ…っごめん…!」




急いで体を起こした。
メガネをしていないせいで何も見えない。




「はい、メガネ。もう、いつものことでしょう?」
「うん…」
「それにこれは私が沙英のことが好きだからしてるんだもの」
「へ!?あ、あ、ありがとう…」
「ふふ、サンドイッチ作ってきたから食べましょ?」




見るとテーブルに美味しそうなサンドイッチが二人分置いてあった。




私たちは遅めのお昼ご飯を食べることにした。





「いただきまーす」
「はい、どうぞー。スープおかわりあるからねー」
「うん。ヒロ、まだお昼ご飯食べてなかったんだ」
「そうなの。今日私寝坊しちゃって…。どうせなら沙英と一緒に食べようかなって思って」
「そっかー」



他愛もない会話をしながらサンドイッチを口に含む。




「締め切り間に合うの?」
「うん、今日は珍しくはかどったから」
「そっか。よかったわね」
「うん」





そのとき私のケータイの着信音が鳴りだした。




「メール?」
「うん、あ、智花からだ」
「智花ちゃん?」





何の用だろうと思いつつメールを開く。


「えーっ?」
「なぁに?」
「智花、また遊びにくるんだって」
「あら、いいじゃないっ」
「んー…」




一通り読んでケータイを閉じる。




「沙英は智花ちゃんがくるの嬉しくないの?」
「そ、そんなことないけど…」




私の性格のせいで智花とはいつもケンカばかりだ。



「沙英は素直じゃないもんねぇ」
「う…その通り、だけど…」




本当にその通りなので何も言えない。




「いいなぁ、智花ちゃん」
「何が?」
「こんなかっこいいお姉ちゃんがいて」



私は顔が真っ赤になるのがわかった。



「沙英がお姉ちゃんだったら自慢できるしねー」
「…ヒロは私がお姉ちゃんだったらよかったわけ?」





恥ずかしくて、少し拗ねてみる。






「そんなことないわよ?だって…」




ヒロは私の服を引っ張って少し身を乗り出す。


瞬間、唇に柔らかい感触がした。





「私と沙英が姉妹だったらこういうこと、できないでしょ?」
「〜っ!」






全く、いつも彼女には頭が上がらない。




「…ヒロ、いきなりそういうことされると心臓によくないよ」
「その気になっちゃう?」
「ち、違…っ」




ヒロはくすくす笑っている。


完全に私はヒロの手の上で転がされていた。




「私は別にいいわよ?」
「あ、え」
「締め切り大丈夫なんでしょう?」
「う、うん」




明らかに誘われている。

しっかりとした返答ができない自分が情けない。




「…それとも沙英は嫌?」
「い、嫌じゃない!」




つい、大きな声を出してしまった。
ヒロは一瞬ぽかんとしたが、すぐに吹き出して笑った。




「わ、笑わないでよっ」
「だ、だって沙英、可愛くて…っふふっ」




血液が全速力で全身を駆け巡っているようだ。


顔が熱くてしょうがない。



どうしようもなくなって、ヒロを思いきり抱きしめた。



同時に愛しさがこみ上げて、首もとに顔を擦り寄せる。



おねだりをする子供のような気持ちになった。




「きゃっ…もう、沙英ったら甘えん坊さん?」
「んー…だってもう我慢できないだもん…ヒロ可愛すぎ…っ」




そのままゆっくり床に転がった。


しっかりとヒロを抱きしめたまま、ゆっくりと唇を重ねる。


何度も、何度も。

愛情を確認するように。




少し体を起こしてヒロに被さるように手をついた。




見上げてくるその目には、いつもの母性的なそれとは違う、何か情熱的なものを感じた。





「ヒロ…好き」
「私も、沙英が好き。大好きよ」
「…本当かなわないなぁ」






そして私たちはまた優しく重なった。





end




あとがき
あまりにひだまりが好きすぎて書いてしまった1本。
じゅ、需要が無くったって…!orz

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あきゅろす。
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