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breakfast(蘭フォル蘭)
目が覚めると胸の辺りに心地よい感触を感じた。



規則的な呼吸が肌に直に当たってこそばゆい。



二人して一糸纏わぬ姿で寝ていたことにやっと気づいた。



「あー…、服着なくちゃな…」



まだ少しぼうっとする頭を手で掻き、隣で寝ている彼女を起こさないようにそっと身を起こした。



近くにあった適当な下着やら私服やらを手に取り、ベッドのに座りながらそれを身に付けていく。




すると、後ろでベッドのスプリングが軋む音がした。
すぐに背中に重みを感じ、首に腕を回された。




「おはよーございまぁす」
「おはよ」




いつもと変わらない口調で挨拶したと思うと、背中に生々しい感触を押しつけられた。




「おい」
「何ですか?」
「わざとだろ、胸」
「えー、そんなことないですよー。フォルテさんのえっちー」
「バっバカなこと言ってないでさっさと服を着ろっ」
「自分が脱がしたくせに…じゃあ、服取ってくださいよー」
「ったく…」




面倒くさかったので、そばに置いてあった替えの下着とワイシャツを渡してやった。




「わーいフォルテさんのワイシャツだぁ」
「そんなのが嬉しいのかい」
「嬉しいですよぉー。フォルテさんの物ならなんでも!」
「…そーかい」




つくづく甘ったるい関係だと思った。
悪くはないけど。




「フォルテさーん。朝ご飯何がいいですかー?」




蘭花はあたしの部屋に常備してある自分のエプロンをつけながら聞いてきた。




「んー、何でも」
「じゃあトーストとかでいいですか?」
「ん、さんきゅ」




蘭花はあたしの返答を聞くと、機敏な動きで朝食の用意に取りかかった。



仕事でもないのに、よく起きてすぐに動けるなぁと感心してその後ろ姿を見ていると、視線に気がついたのか蘭花はくるりと顔を向けた。




「何ですかフォルテさん?」
「いや、休日の朝なのによく動けるなと感心してさ」
「そうですか?私はてっきりエプロン姿に見惚れてたのかと思いました」
「ばーか」




蘭花はいたずらっぽく笑った。



そうこうしているうちに、朝食が出来たようだ。

てきぱきとトーストやらサラダやらがテーブルに並べられていく。




「こうしていると何だか新婚さんみたいですね、ダーリンっ?」
「…あたしの反応面白がってるだろ?」
「そんなことないですよぉー。純粋にそう思っただけです」
「…そーかい」
「フォルテさんは思わないんですか?」
「まぁ、少しは…」




すると蘭花は並べていた手を止めて顔をあたしに向け、目を閉じた。




「何だい?」
「新婚さんらしいことをしようかと」
「あ?」
「おはようのちゅーです。まだしてなかったじゃないですか」
「……」





またこのペースに乗せられそうになる。


いかんいかん。これは押し切られるいつものパターンだ。






「あのさ…」
「フォルテさん、嫌なんですか…?」
「は?」
「あたしとちゅーするの、嫌ですか?」




子犬のような目で悲しそうな顔をする。



一番あたしが弱い上目遣い。


甘やかすとあたしの方が弱くなるから甘やかしてはいけないと常々思っていたのに。


これだから恋ってのは質が悪い。






「嫌じゃないよ」
「フォルテさん…」




蘭花のさらさらした前髪に触れる。


くすぐったそうに閉じた瞼を撫でて、その桜色の唇に口付けた。






唇から離れると、蘭花はさっきと打って変わってにこにこしていた。





「ふふっ、やっぱりフォルテさん優しいです」
「そら、どーも」
「だから好き」





首に手を回されたので、腰を引き寄せて抱きしめた。






どうやら朝ご飯はまだ当分食べられそうにないようだ。




end




あとがき
朝の起きてからご飯食べるまでのシチュエーションがすごく好きです(^-^*)
蘭花のトーストはきっとハートマークの焦げ目がついてるに違いないw

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あきゅろす。
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