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いじわるなジェラシズム(170000hit記念SS・あいおん)


※高校二年生です
※おんぷちゃんは遠近学園高等部、あいこはその隣の女子校
※あいこは一人暮らしです
※設定に突っ込んだら負け
※それでもぉkな人は↓からどうぞ!

















部屋に訪れてから今日一日中、あいちゃんはずっと不機嫌そう。

全然笑わないし、何より目線さえ合わせてくれない。

今は、私はファッション雑誌を読んで、あいちゃんはプロ野球の中継を観ている。

同じ空間にいて別々のことをするのはいつも通りだけど、今は空気が重たい。

それにやっぱりあいちゃんは無表情で。
普段ならタイガースの試合は嬉しそうに観ているのに。




「…ねぇ」
「…ん」
「なんで不機嫌なのよ」
「別に不機嫌やない」
「じゃあ怒ってるの?」
「…怒ってへん」




どうやら図星らしい。
私は雑誌を閉じ、適当な所に放って、あいちゃんの目の前に座る。


あいちゃんは突然のことに少し目を大きく開いたけど、またすぐにさっきの顔に戻ってしまった。




「…テレビ見えないんやけど」
「見てないくせに」
「…見とる」
「うそつき」
「……」




これも図星らしい。
あいちゃんは嘘をつくのが下手だ。

あいちゃんの顔を両手で包み、しっかりこちらに向けさせる。




「ちゃんと、言って。言いたいことがあるなら、ちゃんと」
「……」
「あいちゃん」
「…先週の、ドラマ」




問い詰めるように名前を呼ぶと、目を反らしながらぼそりと言った。


先週のドラマ、というと、今主役で出ているラブコメドラマのことだろうか。

高校生の淡い青春を描いたもので、今までだって何回もそんな感じのドラマに出演してきた。

いったい何が問題なのか。




「あたし、聞いてへん」
「何を?」
「あっ…ああいうシーンがある、の…」
「…ああ」




あいちゃんの言葉でやっとわかった。

そういえば先週のドラマには、あのシーンがあった。




「キスシーンのこと?」
「…聞いてへん」
「だって言ってないもの」
「な…っ!?」




あいちゃんは真っ赤な顔をして口をぱくぱくさせた。

こんなときに不謹慎だけど、こういうあいちゃんの顔も可愛い。




「言わなきゃだめだった?」
「そっ、そら心の準備ってもんがあるやろ!」
「だって演技よ?」
「えっ、演技でも…キスしとるのは…変わらへん…」




だんだん小さくなる声。下がる目線。
すっかりしおらしくなってしまった様子に愛おしさがこみ上げてくる。




「…ねぇ、どう思った?」
「え…」
「キスシーン。見てどう思った?」
「どうって…その…」
「なに?」
「…くやしかった。正直、相手役の人を…殴りたかったわ」




そう言って、苦笑いを浮かべるあいちゃん。
だけどその瞳は“本気”を映し出していた。

その色に私は僅かな高揚をおぼえる。




「嫉妬したんだ?」
「…みっともないやろ。あたし」
「ううん、嬉しい」
「え…」




あいちゃんの首に両腕を絡ませて、抱きついた。
あいちゃんは恐る恐るそっと抱きしめ返す。




「ごめんね、言わなくてよかったって私思っちゃった」
「なんで…」
「だって、あいちゃんがこんなに嫉妬してくれたのわかったんだもの」




事前に言ってたら、仕方がないと考える余裕があったかもしれない。
表面に、態度に出したくれることが嬉しかった。




「あいちゃん」
「んっ…ふ…」




思いきり唇に噛みつくようにキスをした。

口内に舌を進めると、躊躇しながらも応えてくれる。
角度を変えて何度も何度も。

酸素が足りなくなったところでやっと唇を離す。




「こうやって“愛してる”って想いながらキスするの、あいちゃんだけよ」
「…そか」
「あいちゃんは?」
「あ、あたしも…」
「ちゃんと、言って」
「…愛してる」




今度はあいちゃんから。
それもさっきのよりもとびきり深いの。

そのまま二人、甘い時間を過ごして。


















「なんか、めっちゃ恥ずかしいわー…あたしばっかやきもちやいて…」
「…私だって嫉妬くらいするわよ」
「ええ!?いつ?」




あいちゃんはバスケ部のエースで、背が高くて。
性格も面倒見がよくて、さっぱりしているし。
これで女子校でモテないはずがないじゃない。

事実、去年のバレンタインのチョコの量には嫌気が差した。
もっと嫌なのは本人に自覚が無いこと。そこがいいところなのかもしれないけど、こっちからしたらイライラして仕方がない。




「なぁ、いつなん?」
「…知らないっ」
「な、なんで怒ってるん…?」
「…許して欲しい?」
「…よくわからんけど、まぁ…」
「じゃあ、キスして」
「…じゃあの意味がわからへん」
「私の機嫌を直したくないならいいわ」
「…はいはい」




困ったように返事をしながらも、優しい笑みを浮かべて近づくあいちゃんの顔。


あいちゃんのそんな優しいところが好き。そう思った瞬間、気づいた。


優しいから、愛して欲しいから、彼女に嫉妬してもらい自分に。




ごめんね、と心の中で謝りながら、唇に落とされた彼女の柔らかい感触を味わうのだった。




end




あとがき
“高校生”“嫉妬”というキーワードをいただいたのでこんなSSが出来上がりました。当初はおんぷちゃんが嫉妬する予定だったんですが、気づいたらあいこが嫉妬してました(何
うまい具合にあいこがおんぷちゃんの手のひらで転がされています、毎回のことですがwww
最後に、投票してくださった方々、ありがとうございました!

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