My Sweet Darling!(あいおん)
「ありがとうございましたっ」
本日二人目のお客さんを笑顔で見送り、レジのカウンターを閉める。
お店の隅の休憩スペースに座るパティシエ服姿の彼女を見ると、とても暇そうに足をぶらぶらさせていた。
「なんや、今日はお客さん、少ないなぁ」
「昨日はいつも以上に忙しかったのにね」
「まぁ、たまにはええんちゃう?」
「…そうね」
彼女の隣に腰を下ろし、その横顔を見つめる。
ゆったりしていたせいか、外をぼーっと眺めている顔がなんだかおかしくて、つい、くすっと小さく笑ってしまった。
「…おんぷちゃん、今笑ったやろ」
「笑ってないわ…ふふっ」
「あぁっ、やっぱり!」
「だって、あいちゃん面白いんだもの…ふふふっ」
「もー…はははっ」
店内に響くのは無邪気な二人分の笑い声。
他のみんなはいない。
どれみちゃんとももちゃんはこの前の国語のテストが悪かったらしく、補習で学校に居残り。
はづきちゃんは踊りのお稽古。
今日また昨日のように忙しくなっていたら…なんて考えるだけで疲れてしまいそうだけど。
そんなわけで、今日はあいちゃんと二人きり。
大抵、いつものメンバーでいることが多いから、二人きりはすごく貴重。
だから、さっきから嬉しさで胸がどきどきして仕方がない。
「(でも、あいちゃん自分のことには鈍感だから気づかないんだろうけど)」
そんなことを考えていたら、あいちゃんが私の顔をじっと見つめているのに気がついた。
「なに?」
「おんぷちゃん、眠いやろ」
「え…?」
苦笑いをしながらあいちゃんが言った。
言われてみれば、確かに眠い気がする。
自分でも自覚していなかった。
なんでわかったのよ。そんな私の表情に気づいたのか、大したことではないといった感じで答えた。
「おんぷちゃんはな、眠いと子供っぽい顔すんねん」
「子供っぽい?」
「おんぷちゃん、そこまで仲良くない相手には眠たいとことか見せたないやろ」
「…そうかも」
「でも、仲良い相手には顔に正直に出てん。大人びてない本来のおんぷちゃんっていう感じ」
少しびっくりした。
そんなとこまで見ていたなんて。
それでもやっぱり肝心な部分に気づいてないのはあいちゃんらしいけど。
そんな彼女が少し照れくさそうに軽く自分の肩を叩いた。
「肩…」
「肩?」
「…貸したるわ。そやから少し寝たらええ」
「でも…」
せっかくの二人だけの時間が。
ここで寝てしまうのがもったいなく思えてしまう。
そんな私の気持ちを察したのかどうかは知らないけど、あいちゃんはこう付け足した。
「一時間経ったら起こしたるから」
「…わかった」
お言葉に甘えることにして、ぽすっと彼女の肩に頭を乗せる。
よく見ると、耳が少し赤くなっている。
可愛いな、なんて思って、調子に乗って横に置かれた彼女の手をきゅっと握ると、恐る恐るだけど握り返してくれた。
「…さっきのあいちゃんね、少し惜しかったわ」
「…どう惜しかったん?」
「気を許す相手っていうのじゃなくて、正しくは…」
手を握る力を少し強くした。
「大好きな人よ」
「…っ、そか…」
照れてそっぽを向いてしまったけど、より一層朱に染まった可愛らしい耳がよく見えている。
また、ちゃんと握り返してくれるあたり、とても愛しくなる。
「…大好きよ」
自分にだけ聞こえるような小さな声で、二人でいられる幸せをそっと、かみしめた。
end
あとがき
マジこれ誰得SSなのwwwww櫻田得すぎるよ!wwww
この後思ったより早くどれみさんたちが来てしまい、必死で弁明するあいこを狸寝入りで楽しむおんぷさんが見られるに違いない\(^O^)/
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