しろいいき(復活&100000hit記念SS・宮ゆの)
はぁっと息を吐くと白いそれが色濃く広がった。
「うわぁ、すごく息白いー」
「もう冬だからねぇ」
「宮ちゃんごめんね、寒いのに買い物につきあってもらっちゃって…」
「ううん、全然いいよー」
私と宮ちゃんの手にはビニールの買い物袋がひとつずつ。
中には食料品や消耗品が入っている。
「ゆのっちひとりじゃちょっと重いだろうし、私も買うものあったしねっ」
「…ありがと、宮ちゃん」
何気なく視線を下に向けると、何も持っていない私の右手と、ビニール袋を持っている宮ちゃんの左手が視界に入る。
「(手、繋ぎたいなぁ…)」
無意識にそう思った自分に気づいて、少し恥ずかしくなった。
しかし、一度意識してしまうと、宮ちゃんの左手をつい、ちらちらと見てしまう。
「(どうしよう…気になってしかたがないよぉ…っ)」
どうにか自然に手を繋げないものか。
頭をフル回転させ、何かいい方法をと考える。
悩んだ末に出た言葉は。
「手っ、寒くないっ?」
「え?大丈夫だよ?」
「…そっか」
宮ちゃんのあっけらかんとした答えに見事に撃沈。
「(き、きっかけがつくれない…)」
思った以上の自分の不甲斐なさに、心の中で大いにがっかりした。
なぜこんなにも自分は要領が悪いのだろうか。
「…ゆの、もしかして手、寒い?」
「ふぇ?」
「ほら、貸してごらん」
そう言うと宮ちゃんは、両手で私の手を包み込んだ。
「み、宮ちゃ…!?」
「あー、やっぱ冷たい…手袋してくればよかったね」
苦笑いしながら、宮ちゃんは優しく私の指や、甲、手のひらをさすってくれた。
そうして、左手に持っていたビニール袋を右手に持ち替えて、きゅっと私の手を握る。
「手、繋ごうか。その方があったかいよ」
「…うん!」
私はなんてばかだったのだろう。
最初から「手を繋ごう」と直接言ってしまえばよかったのに。何を怖じ気づいていたのか。
さっきまで、ひとりでテンパっていた自分に思わず苦笑いをした。
「じゃ、行こうか」
「え…!?」
ただ、それ以上に予想に反していたのは、その握り方。
ただ握るだけかと思っていたのに、宮ちゃんはしっかり指と指を絡めてきた。
その上、繋がれた二人分の手を、自分のコートのポケットにずぼっと入れたのだ。
「これならもっとあったかくなるよ」
「……っ!」
「…もしかして嫌だった?」
「う、ううん。すごくあったかいよ…ありがとう、宮ちゃん」
「そっかぁ、よかったっ。どういたしまして、えへへ」
きゅっと握れば、同じくらいの力で握り返してくれる自分より少し大きな手。
もっと宮ちゃんの隣にいることを感じたくて、思い切って左腕に頭をこつんともたれかけてみる。
自分の心臓が早くなるのがはっきりとわかった。
「(どうか、宮ちゃんに私がどきどきしてることが伝わりませんように…)」
そんなことを考えながら、ひだまり荘へゆっくりと歩を進める。
行きではひとりぶんだった白い息は、ふたりぶんになって大きくなっていた。
end
あとがき
お待たせしましたっ、そして短くてすみません(´ω`;)
宮ゆのっていうかゆの→宮?
奥手なゆのはとっても可愛いと思います。たまに積極的になるのもよしww
宮ちゃんは素で鈍感なのか、はたまた確信犯か…(笑
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!