もうちょっとメイクビリーブ
・・・・・・
「東郷先輩、初詣行きませんか?」
電話の向こうの東郷先輩が「面倒くさい」と思っているのか「嬉しい」と思っているのか、俺には想像もつかない。
だからしばらくして『行く』と返ってきた時は、ちょっと安心してしまった。
「良かった……俺、今年の年越しは一人になるところだったんですよ。両親は抜け参りにいくらしくって」
『あぁ……伊勢神宮か』
「それで、弟は彼女と一緒に過ごすって言うから……先輩と年越しできたら楽しいかなって」
『お前……そんな可愛いこと、急に言うなよ…』
可愛い?どこがだ。
東郷先輩の言う事はよくわかんない…
「じゃあ一緒に年越しして、初詣行きましょう」
『わかった……中谷』
「はい?」
『愛してる』
「……はぁ」
東郷先輩……喜んでくれてるのかなぁ。
まさか、最初は夏樹を誘ったんだけど断られたから「東郷先輩でいいや」ってなったなんて言えない…
******
というわけで、なし崩し的に大晦日は東郷先輩と過ごすことになった。
誰もいないからうちでもいいんだけど……先輩が「うちに来い」って言うからお言葉に甘えた。
「東郷先輩……なんでテレビつけてないんですか?」
「は?」
「大晦日って言ったら面白い番組いっぱいなのに」
「……知らねぇよ」
えぇっ。じゃあ毎年どうしてるんだ。
マフラーとコートを脱いでテレビをつける。適当にチャンネルを回していたら、急に背後から思いきり抱きしめられた。
「う、わっ!?」
「中谷…」
なんで抱きしめられてるんだ。
俺、テレビ観たいんだけど…
「東郷先輩?」
「中谷……体、つめてぇ」
「……だって、外にいたもん」
「俺があっためてやるよ」
いやっ……いい!
とも言えずそのまま服の中に手を入れられた。
確かに、俺の冷たい肌に東郷先輩の温かい手が触れるとゾクッとくる。
「中谷……嬉しかった。お前の方から誘ってくれるなんて…」
「そ、れは……ひゃあ、あぁっ…」
「可愛い……乳首、弱くなったな?」
「そんな、ことっ……ん、あっ…」
そんなことない……けど、ヤバい!反応してきた…
なんとかバレないように身を屈ませていると、東郷先輩が耳に口づけてきて囁いた。
「中谷……勃ってんだろ?」
「ちっ、違います!」
普通にバレてる…
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