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もうちょっとメイクビリーブ
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……は、恥ずかしいっ!!

急いで東郷先輩の体を突き飛ばすと、東郷先輩は「中谷!?」と怒鳴ってきた。

「俺、紅葉の面倒見なくちゃ!!東郷先輩は邪魔しないでくださいね!!」

「な……また子供かよ!?」

お……俺が悪いみたいに言うなよ!!アンタはさっきの女の人たちの相手してれば良いだろ!!

東郷先輩を置いて紅葉の相手をしようとすると、ある事態に気が付いた。

「あれ、紅葉……?」

ついさっきまでその辺にいた紅葉が見当たらない。

奥の方まで目をこらしても、見覚えのある小さな頭はなかった。

「紅葉!?紅葉っ!!」

まさか、はぐれた……?

「中谷、どうした?」

「せんぱ……紅葉が、紅葉が……さっきまでここにいたのに」

泣きそうになりながらそう伝えると東郷先輩が濡れた手で俺の頬に触れた。

「落ち着け、中谷……そう広い場所じゃねぇし、すぐ見つかるって」

「でも…」

「向こうは俺が捜してくるから。お前は、もう少し捜して見つからなかったら迷子の呼び出し頼め。……わかったか?」

東郷先輩の言葉を頭の中で繰り返して小さく頷くと、東郷先輩は早速プールを出ていった。

俺は紅葉の名前を叫びながらプールを歩き回る。

……紅葉、どこ行っちゃったんだろう…
俺がちゃんと見張ってなくちゃいけなかったのに。なんか、事件に巻き込まれてたら…

『落ち着け、中谷』

……そうだ、東郷先輩を信じよう…



そうしてしばらく捜していたけど、やっぱり紅葉は見つからなかった。
もう、呼び出しを頼もう…
そう思ってプールから上がった俺は、呼び出しセンターを目指す。

すると途中で、すれ違う女の子たちの会話が耳に入った。

「ねぇ、あの金髪の人かっこよくない!?」

「本当だ、兄弟で来てるのかな?弟もかわいー」

金髪……兄弟……?

まさかと思って女の子たちの視線の先を探す。
向こうの方に、東郷先輩と会いたくて仕方なかった紅葉がいた。

「紅葉っ!!」

「あ、チカ兄ー!!」

紅葉はのんきに笑いながらこっちに駆け寄ってくる。もう、どれだけ心配させたか…

「紅葉、どこにいたんだ?大丈夫だったか?」

「だいじょーぶ。ゴウくんが来てくれたからっ」

紅葉に言われるままに東郷先輩を見る。お礼を言おうと口を開くと、急に口を塞がれた。

「中谷…」

東郷先輩に思い切り抱きしめられたのだ。悲しいかな俺の口は東郷先輩の胸板に直撃した。

「んんっ……ったいなぁ!!」

舌噛むところだった!!
のけぞるようにして東郷先輩の顔を見ると、何食わぬ顔で「中谷、愛してる」と囁いた。

「は!?」

「悪かった。お前が紅葉に構ってばっかりだったからって、怒ったりして…」

「……はぁ?」

意味わかんないし、それって今言うことなのか…

「チカ兄とゴウくん、らぶらぶ?」

……あぁっ!?

「ち、違うんだ紅葉。俺たちはただの友達で……ね!!東郷先輩!!」

「どうだろうな」

こ……
「この鬼畜っ!!」

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