もうちょっとメイクビリーブ
R
あーヤりてぇ。
「リュウ、機嫌悪いね?この授業終わったら昼休みですよ!!」
昴の言葉に応える気も起きない。
チカラの裸が見たい。喘ぎ声が聞きたい…
「……もしかして、中谷とケンカ?」
ケンカ……ではない。チカラの様子は変わらないし。ただ、チカラのガードが今までにないくらい固くなったのは確かだ。
おかげで俺は重度の欲求不満になってしまった。
「俺が相談に乗ってあげようかー?」
「……いや、いい」
たぶんコイツに話しても『だから恋人は複数作るべきだ』とか言われて終わる。
「わかった、リュウくん例の弟子と浮気しちゃったんじゃないのー?んで中谷怒っちゃったんだ!!」
「そんなわけねぇだろ…」
「……中谷ヒトスジですものね」
「当たり前だ」
チカラが、怒ってる…?
俺、なんかしたんだろうか。
「じゃあ、中谷が浮気だ」
「んなわけ…」
……ない、よな?
もしかして、他の誰かとしてるから俺としたくないのか?
俺より、そいつとした方が気持ちよかったっていうのか?
……まさか、そんなわけねぇ…
「まぁなんにせよ、お昼ご飯いきましょうよ!!リュウくん」
「お前、楽しそうだよな…」
「見てて飽きないもん。お前ら」
ほっとけ!!
「おはよー。中谷、夏樹くん」
昴と屋上に行くと、チカラと転校生が楽しげに話をしていた。
くそ、ムカつく…
「おはようございます」
「何の話してたの?」
「あ、もうすぐテストなので、その話を…」
「君たち常にお勉強のこと考えてるねぇ。もっと気楽にいけ?」
チカラは見る限りいつも通りだ。やっぱ怒ってはねぇよな……?
と、思っていると急にチカラが俺の方を向いた。
「そうだ、先輩……そういうワケなんで、しばらく一緒に帰るのやめませんか?」
……は?
「なっなんでだよ!?」
「いや、テスト前だからですよ……俺、勉強しなくちゃいけないし」
「そんなの……俺の家でやればいいだろ?」
っていうか、俺はすっかりお前の勉強を教えるつもりで…
「だって、真木くんがいるじゃないですか……俺は帰ってすぐ勉強したいんですケド」
チカラは嫌悪感を露にしている。
確かに、真木がいたら勉強はできないかもしれない…
「……いや、それだったら真木をもううちにあげなきゃ済む話で…」
隣で昴と転校生が
「マキくんって誰?」
「東郷先輩のお弟子さんらしいです」
とか話してる。
「だ、ダメですよ……そんなの、かわいそうじゃないですか」
またコイツは『かわいそう』って…
「俺はお前と一緒にいれれば充分だ!!別に真木なんて…」
「いいですってば!!とにかく……放課後は俺に構わないで、真木くんにケンカでもなんでも教えてあげてください!!」
……なんでこんなことになってんだ?
俺は、チカラの為だと思って真木に…
「中谷…」
「……俺は、東郷先輩のそういう暴力的なところ嫌いですっ…」
……嫌い?
俺は、お前のために……お前に好かれるために、強くなったんだ。
それなのに……嫌いって、どういうことだ。
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