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もうちょっとメイクビリーブ

俺はチカラに全ての事情を聞いた。弟に『素直になれるおまじない』を教えてもらったこと。
効いた(気がした)から俺が来る前にも飲んだこと。

「でも今思うと、明らかになんか企んだ顔でした…」

チカラは泣きそうだ。
本っ当こいつ、純粋っつーか疑うことを知らねぇっつーか…

「何が入ってたんでしょう……?」

「たぶん……媚薬とかじゃねぇか?」

「……び、やく?」

「まぁなんつーか、勝手に欲情する薬だな」

俺もあんま詳しかねぇけど、と付け足すと、チカラは崩れ落ちるように俯いた。

「東郷……先輩」

「何だよ」

「今日の俺は……俺じゃなかったと思って、忘れてくれませんか?」

「……断る」

チカラは『やっぱり』みたいな顔をした。当たり前だ!!

「……俺は、薬のせいだろうとなんだろうと……お前から誘ってきたこと、嬉しかった」

「先輩…」

今さらなかったことになんか、できねぇよ…
それに、こんなこと二度とない気がする。なんだかんだ言って、チカラが俺を求めてくるはずなんてないってわかってるんだ。

だからこそ、すげぇ嬉しかったのに…

「……東郷先輩」

もう一度チカラに呼ばれて目をやると、チカラが真剣な目で俺を見つめていた。

「俺、そんな……あの、びやく?とかに頼らないで、ちゃんと自分の気持ち伝えられるように、頑張ります」

「……中谷…」

「だから……待ってて、下さい。俺、本当はっ…」

言い終わらないうちに、自然とチカラを抱きしめていた。

「中谷……愛してる。素直じゃねぇところもすげぇ可愛いよ。大好きだ」

「……そんな」

「今日のことは忘れるから……ずっと待ってる。お前の、気持ち…」

「……ありがとう、ございます…」

……やべぇ。チカラが鼻をすするのが聞こえる。
対して俺は……また反応しだした。
こんな雰囲気の時にアレだけど、一応言ってみるか…

「中谷……ヤりてぇ」

「なっ……恥ずかしいこと言わないで下さい!!大体、この流れでそれはないでしょう…」

やっぱりそう来るか。
「じゃあ、キスは?」

「……それくらいなら、いいですよ…」

チカラの許しを得たから、俺は唇をゆっくり近付ける。チカラの目が閉じて、甘い一時が始まる。

チカラからねだられたキスだろうと、強引に奪うキスだろうと、この甘さに違いはないのかもしれない。

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