もうちょっとメイクビリーブ
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『持て余す』なんて言葉がぴったりだ。
平静を取り戻す気配さえ見せない自分の性器を、俺は完全に持て余している。
自分だけ2回も3回もイきやがって……と呆れる反面、チカラが何度もイってくれた事実が嬉しくて仕方ない。
『俺と……セックスしたいって、思ってくれてんのか……?』
今日のチカラの態度は、きっとこの質問への答えだったんだろう。
言葉じゃなく態度で表すところがチカラらしい。
こんなセックスが、毎日できたら幸せなのに…
そんなことを考えつつチカラを風呂場まで運ぶ。脱衣室に体を下ろすと、チカラの体がピクリと動いた。
「……チカラ?」
「……とーごー……せんぱい?」
チカラの目がゆっくり開く。
あ、キスしてぇ…
「……なんで、東郷先輩が……?」
「……は…」
何言ってんだ、こいつ…
俺は「さっきまでしてたこと、もう忘れたのか?」と言ってチカラのモノを撫でる。
チカラは「ひゃあっ」と声をあげたかと思うと、またきょとんとした顔に戻った。
「さっきまで……?」
「……覚えてねぇのか?」
「ごめんなさい、なんか記憶がハッキリしなくって……あ、そうだ!!会いに来てくれたんですよね?それで、えっと…」
……嘘だろ。
この焦りよう……演技じゃない。
忘れたのか!?
「お前は……ついさっきまで俺とセックスしてた。指フェラだってしたし、お前から『いれて』って…」
「え……っと、覚えてるような、覚えてないような…」
「思い出せ!!」
「なっ……なんでそこまで強く言われなきゃ…」
なんでも何も、あの時間が、あの言葉が、俺の記憶にしか残ってないなんて…
「ありえねぇだろ!!」
「だ……だって、東郷先輩が来たあたりから俺、気分がおかしくて…」
確かにチカラは様子がおかしかった。「熱っぽい」と言ったかと思えば「えっちな気分」と言ったり…
頭を整理して思考を巡らせる。
体が熱くなって、だんだん…
「……チカラ、俺と会う前に何か飲んだか?」
「え?ジンジャーエールを…」
「それ、本当にジンジャーエールだったのか?」
チカラは急に真剣な顔になって「そう言えば、1杯目と2杯目で味が違ったような…」と答えた。
「……チカラ」
「先輩にチカラって呼ばれると変な感じです」
……さっきお前がそう呼べって言ったんだ!!
「……中谷、その2杯目に、なんか変な薬でも入ってたんじゃねぇか?」
「はぁ?薬ってどういう……あっ!!」
「……心当たり、あるんだな」
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