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もうちょっとメイクビリーブ

──某月、17日。

「……なぁ」

めげずに東郷くんにまとわりつくことまた4日。
あり得ない事件が起きた。
なんと、あの東郷リュウから話し掛けられたのだ。

「……な、なに?」

「お前が思う、男が憧れる男って何」

東郷くんの突拍子もない質問にいろいろ言いたい気持ちを抑えて、俺は俺なりの言葉を探した。

「……あ、兄キっぽい人?」

東郷くんは眉をひそめて「もっと詳しく言えねぇのか」とか抜かす。
いやいや、説明が足りないのはどう考えてもそっちじゃない?

「ほら、頼れて男らしくて……強い人?」

うーん、適当に答えちゃったよ。

東郷くんは何か考えていたようだったけど「あっそ」と言うとそっぽを向いてしまった。



──某月、18日。

東郷くんに大きな変化があった。見た目に。

「何!?その、ケガ」

普段は陰で東郷くんをからかってるクラスの男子も目を丸くして東郷くんを見てる。

東郷くんの口の右端が腫れていたのだ。他にも、所々に痛々しい傷痕が残っている。

「……だ、誰にそんな殴られたの?」

「……知らねぇ」

え、わかんないの?それとも『知らない人』ってことかな。
俺が更に何か問いかけようとしたところで、担任が教室に入ってきた。

「東郷!!ちょっと来い」

うわ、呼び出されてるし。
なんか事件にでも巻き込まれたとか?
かわいそうだなー東郷くん。

しばらく廊下で担任と話していた東郷くんが戻ってきた。東郷くんに聞いても無駄だと推測した俺は、急いで担任を追い掛ける。

「センセー」

「なんだ?黒坂」

「東郷くんに何かあったの?」

「黒坂に関係ないだろ?」

東郷くんみたいなこと言うなよ!!
「実は友達なんです」なんて嘘をつくと、担任は疑いつつ教えてくれた。この人も大概ユルい。

「どうやら東郷が昨日……なんだ、素行の悪い高校生同士のケンカに割り込んだらしいんだよ」

「……はぁ?」

どうしちゃったんだよ東郷リュウ。
頭おかしくなったのか?

「本人に聞いたら『道のど真ん中で邪魔だったから』って言ってたけど、なんなんだろうな」

「へぇ……怖いもの知らずだね、東郷くん」

話を聞き終えたので教室に戻ろうと踵を返すと、担任に呼び止められた。

「あんまり関わりすぎんなよ。東郷と」

「なんで?」

「かなり強かったらしいぞ。ケンカ」

……え。そうなの?
そっか。
負けてたらもっと重傷負ってるはずだし…
勝ったのか、東郷リュウ!!
すごいじゃん。

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