もうちょっとメイクビリーブ
。
──某月、13日。
『人類皆恋人』
これが俺のモットー。
理由もなく誰かを嫌うなんて、俺にはできない。
ていうか寧ろ、好みの顔してる。
「東郷くん、おはよー」
……はいはい、シカトですね。
別に良いけどさ。
俺の名前は黒坂昴。現在中学3年生。
ここ数日、後ろの席の東郷リュウって男がすっごく気になってる。
東郷くんはうちの中学で群を抜いてかっこいい。顔も良くてスタイルも良くて、陰で女子にキャーキャー言われてる。
それが原因で男子にすごい嫌われてるけど。
そういえば女子の黄色い声に全く無反応なんだよね、東郷くんってば。
もしかして仲間だったりして……とか、密かに思ってる。いや俺は女の子大好きだけど。
そんなワケで俺は今日も東郷くんに話し掛ける。
「東郷くん宿題やった?」
「……やった。見せねぇけど」
うーん、手厳しい。
ていうか東郷くんってS?
「昨日の夜は何してたー?」
「……関係ねぇだろ」
つれないね。
こりゃ嫌われるはずだよなぁ。
朝のSHRが始まって、担任からプリントが配られた。
見ると、『進路希望調査票』と書いてある。
「進路だって。東郷くん決めた?」
プリントを回しついでに尋ねると、東郷くんに思いっきりシカトされた。
「……まぁ、まだまだだよねぇ〜」
少し腹が立ったけど、不思議と俺の好奇心は消えることを知らなかった。
──同日、放課後。
「珍しいね、昴が誰かに執着するなんて」
恋人の一人に東郷くんの話をすると、思いの外びっくりされた。
まぁ確かに、俺は流されて生きるタイプだけどね。自分から行動ってあんまりしない。
しかも嫌われてる人に好かれようとするなんて、一番苦手な行動だ。
「うーんでもさ、なんかかわいそうじゃん。あれ絶対友達いないって」
「……やっぱり、珍しいよ」
そこまで言われると、そんな気がしてくる。
俺って東郷くんに執着してるのか?
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