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もうちょっとメイクビリーブ
チカラのチカラ
俺の名前は中谷チカラ。
だけど、どんな力も持っていない。
俺のチカラってなんなんだろう?

「東郷先輩って、綺麗な金髪ですよねー」

お馴染み昼休み。
俺たちは、いつものようにくだらない雑談をしている。

東郷先輩は俺の褒め言葉に、少し動揺の色を見せた。

「……あっそ」

「なんで金色なんですか?」
夏樹が尋ねた。

そういえば、黒坂先輩は名前が黒坂だから黒髪っていうのは知ってるけど、東郷先輩には聞いてなかったな。

「……それは…」

なかなか答えない東郷先輩。そんなに後ろ暗い理由なのか……?

「リュウも1年の頃は黒髪だったんだよー」

隣の黒坂先輩から意外な情報。
東郷先輩、去年までは黒かったんだ!!あまりに金髪が似合ってるから想像できない…

「で、なんで金にしたんだっけ?リュウ」

黒坂先輩は答えを知っているのか楽しそう。
東郷先輩はしばらくして気まずそうに答えた。

「中谷の目に、よく止まるように……金色にした」

……は?
なんだそれ…

確かに、綺麗な金色は東郷先輩のトレードマークって感じで、俺もすぐ覚えたけど…
まさか俺のためだったとは。

すごいな。本当に俺のこと好きだったんだな。改めて、実感。
……ちょっと、嬉しい。

「黒髪の東郷先輩も見てみたいですね!!チカラさん」

「え?あぁ、うん。東郷先輩は何色でも似合うと思う……赤でも青でも」

照れを隠して夏樹にそう答えると、黒坂先輩に大笑いされた。

「中谷!!そんなこと言うと、明日のリュウは赤と青にしてくるぞ」

はぁ?
言われて東郷先輩の方を見ると、指でつまんで自分の髪をまじまじと見つめる先輩。
本気か……?

「そ、そのままで良いと思います!!」

慌てて言うと東郷先輩は「あっそ」と言って持っていた緑茶を飲んだ。

「忘れんなよ、中谷。軽はずみにリュウくんを褒めちゃダメだぞー」

黒坂先輩の言う通り。
なんせ東郷先輩をここまで強くしたのは、俺の一言だからな…

忘れちゃいけない。

俺の褒め言葉には、東郷先輩の人生を変えるチカラがあるんだ。

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あきゅろす。
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